※※第183話:Make Love(&Vehemence).106







 「ん……あっ、」

 ナナは両手を、ネクタイでベッドへと縛りつけられてしまった。

 「こっち向けよ…」
 その姿もデジカメへと、収めてしまうと、

 「厭らしい顔してる…縛られんのも好きだもんな?」

 薔は艶かしく、彼女の肌を愛撫してゆく。


 「あ…っ、あ…あっ、」
 ふるえるナナは、感じて切なく歪む顔を、また何枚か撮られていた。

 「ナナ……」
 そっとカメラを離すと、傍らへと戻し薔は彼女の肌へとキスを落とし始める。

 「あ…っん、あ…っ、」
 ニーソを履いた脚がふるえる。
 早く、早く胸を直に愛撫して、その脚を上った先を好きなように乱してほしい。


 けれど、彼はまだそうしない。
 汗ばむ肌を撫で、強弱のあるキスをして、彼女のエッチな気分をさらに掻き立ててゆくのだ。

 ふたりを浮かべてベッドは軋む。




 「…―――――はぁ…っ、」
 薔はまた少し、躰を起こすと、何も言わずにベストを脱ぎ捨てた。

 「あ…っあ、薔ぅ…っ、」
 その様にも感じてしまって、瞳を潤ませたナナは甘ったるい声で彼を呼ぶ。
 「…ん?」
 微笑んだ薔は、ふるえる彼女の躰を抱きしめると、

 「どうした?」

 耳もとで囁きかけた。



 「んんン…っ、っん……」
 ナナの躰は、さらにふるえる。
 「ここが痛かったら、素直にそう言えよ?」
 ネクタイで縛り上げた手を撫でて、薔は囁きをつづける。

 決して自分で解けはしないが、痛いような縛り方はしないくせに、わかっているくせに彼は意地悪だ。



 「や…っ、もう…っ、」
 息は荒くなり、触れてほしいどこもかしこもじんじんと熱くなり、ナナはそのじれったい快感に涙を流してしまった。

 「可愛い…」
 吐息混じりに言葉にして、伝う涙へと薔は舌を這わせる。


 「ん…っ、あっ…ああっ、」
 ナナはつまさきをベッドへ立て、

 「そろそろこいつ…外してみようか、」

 ついにブラジャーのホックは、片手で滑らかに外されたのだった。

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