※※第183話:Make Love(&Vehemence).106







 押し倒した荒っぽさとは対照的に、やわらかく、やさしく薔はくちびるを重ねてくる。

 「ん…っ、ん……」
 何度かくちびるを触れあわせてから、舌先もちょっと絡めあうと、

 「はぁ……」

 薔はいったんくちびるを離し、彼女のうえで白手袋を、難なく口で外す。

 その様がとてもエロティックだったため、視線を逸らせずナナは魅了されてしまう。





 「…――回りくどいのはやめだ、おまえが可愛すぎてもう我慢できねえ…」
 火照る彼女の頬を、ゆびでそっと撫でると、

 「気持ちよくしてやるから、あとは素直に乱れちまいな?」

 薔は再び、くちびるを奪いにきた。






 「ん…っ、んう…っ、」
 いっぱい写真を撮ることができたナナももう、それならそれで構わなかった。
 いつもと違う服装で、重なればまた興奮する。

 舌先を絡めて、だんだんと深く絡めていって、

 …ッ…じゅっ――…

 「ん…っ、……は…っ、」

 不意に、ゆっくりと離す際に舌を吸われてナナはふるえる。
 黒いリボンの髪飾りも、合わせてふるえている。

 キスだけで蕩けてしまいそうで、つまさきで艶かしく、ベッドを乱してゆく。



 きゅっと手首を掴まれ、深くへと、そうっと、舌が滑り込む。

 「んんん…っ、」
 ナナは躰を反らし、手首から腕へと、彼の手は伝っていって、

 「……っ、は…っ、」

 吸いつきながら撫でるようにして、舌は抜かれくちびるは離されていった。



 「はぁ…っ、はぁ…っ、」
 乱れて、熱くなって混ざる吐息のなかで、唾液は細く糸を引いている。

 髪をしなやかに撫でて今度はやさしいキスを落としてから、

 「似合ってんな?これ…」

 薔はそっと髪飾りを撫でながら首筋へとキスを落としてゆく。


 「んン…っ、」
 自分でつけたときは何ともなかったのに、彼がちょっと触れただけでどうしてこんなにも気持ちいいのか。


 「感じてんのか?」
 ふっと笑った薔は、傍らのデジカメへ手を伸ばすと、

 「おまえの写真は、まだ撮ってなかったよな……」

 髪飾りから滑らせた手で頬を撫で、そのままナナの表情を写真へと収めた。



 「あ……」
 恥ずかしいけれど、彼に触れられながら撮影されてしまい、ナナの全身はますます火照りだす。

 「エロい表情(かお)…」
 カメラ越しに、大胆不敵に微笑んだ薔は再び髪飾りへと触れてから、やさしくそれを外したのだった。

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