※※第183話:Make Love(&Vehemence).106
「おわーっ!ちゃんと書けました!」
達成感に満ちるナナは、彼に教わりながら正しく書けた結婚式の招待状を誇らしげに眺めてみた。
またひとつお利口になれた気がしている。
「偉いな、」
隣で笑って、薔は彼女のあたまを撫で撫でしている。
こうなると、エッチなことに突入できるナナの胸は高鳴り、何か言うべきか大人しく待つべきかともじもじし始めた。
その心情をちゃんと、察している薔は、くすっと笑って彼女の肩を抱き寄せ、
「…――ご褒美欲しそうな顔してる…」
ゆびでそっと、くちびるを撫でてくる。
「あ……」
これだけで早くも、ナナの中はキュンと切なく疼いた。
心地よい匂いにうっとりと、彼女は彼へともたれる。
ドキドキは最高潮で、このままエッチに突入するのかと思いきや、
「ベッド行こっか……」
薔は抱いた肩を撫でて囁いた。
「はい……」
それはそれはうっとりと、ナナは応え、彼は彼女の手を取る。
そしてふたりしてベッドへ向かおうというときに、
突然、インターホンの音が鳴り響いたのだった。
――――――――…
(最近、桜葉によく写真を求められるな……)
スマホ(りんごのほう)の画面、彼女とのLINEのトーク画面を眺めながら、醐留権はじつに真剣な表情だった。
(しかもポーズを事細かに、指定してくるのだが…)
と、指定されたポーズとやらを脳内で思い浮かべてみたゾーラ先生は、
「桜葉もきっと、淋しい思いをしているのだろう……ここは是非とも最高の一枚を……」
じーんとした後に、キリッとポーズを決め、自室にて全力で自撮りに挑戦した。
用途はもちろん、ただ眺めるだけだと思っております。
「しかしこれは何と言うか、まるで、壁ドンのような……」
……そうか!桜葉は私に壁ドンをされたいのか!
ゾーラ先生にはさらなる気合いが入っちゃいます。
彼氏だとそこら辺の注文は、つけやすいからね。
「私のチェリーブロッサムは、本当に、可愛いものだな……」
なかなか満足のいく一枚を撮れた醐留権は、照れながらすぐにこけしちゃんのもとへと写真を送ったのだった。
こけしちゃん初の漫画ははかどること間違いなしだ!
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