※※第182話:Make Love(&Oral tradition).105








 ギシッ――――…

 屡薇と真依はとうとう、彼の寝室、ベッドのうえへと辿り着いてしまっていた。
 ベッドサイドの明かりが、妖艶に辺りを照らし出す。
 きちんと整えられていたベッドを、これからふたりして乱してゆくのだ。


 「真依さん…」
 彼女の上になった屡薇は、くちびるへとくちびるを近づけていったのだけど、

 「あ…っ、そういえばっ、シャワーっ……浴びないと……」

 この期に及んで、真っ赤の真依は顔を逸らしてしまい。



 「何で?真依さん、すごく甘くていい匂いするよ?」
 その恥じらいを逆手に取って、耳もとへくちびるを寄せ屡薇は囁いた。

 「それとも一緒に浴びようか?」








 じつのところ真依は、ここに来る前にアパートでシャワーを浴びていた。
 しかも、念入りに。

 「い…っ、いい…っ!」
 そのことを思い出すと恥ずかしさは倍増して、彼へと視線を戻した真依は小さく首を横に振る。

 「じゃあ、遠慮なく…」
 微笑みを落としてから、屡薇は彼女のくちびるへとキスも落としたのだった。

 チュ――――…






 「ん……」
 重なるくちびるはどちらも、熱くなっていた。

 リップ音を立てながら、やわらかくくちびるを触れあわせ、時折視線を落としながら屡薇は微笑みかけてくるから、真依は困る。

 「……っん、」
 そしてふたりはだんだんと、舌を絡めてゆく。


 吐息を漏らして、開いたくちびるを重ねながら舌先を絡め、屡薇は不意に下唇を吸ってくる。

 負けじと真依は彼の上唇を甘噛みし、次に舌を絡めるときは、もっと、深く。



 「は…っ、ん…っ、」
 今度また下唇を吸われたときに、負けじと上唇を甘噛みできるほどの余裕は早くも真依には残されてはいなかった。

 (やだ……気持ちいい……)
 頭の中は快感だけを捉えながら真っ白状態にされており、火照った全身のちからは抜けてゆく。



 「は……あっ、」
 いったんくちびるを離し、視線を絡める頃には、彼女はくたぁっとしてしまっていて、

 「やばい、真依さん……なんかもう、エロい…」

 息を乱していた屡薇は、すぐにまたキスを続行した。






 「ん…っは、ん…っ、」
 撫でられる髪は、整えられているのか、乱されてゆくのか。

 心地がよくて、肌は汗ばみ、

 スルッ――――…

 屡薇は右手を、彼女のトップスの中へと忍ばせた。

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