※※第177話:Make Love(&Make Love!).9








 マンションの入り口にふたり並んで、車が見えなくなるまで見送ると。


 「……薔……」

 ぎゅっ…

 せきを切ったように、いやらしい気分が溢れだして、我慢ができなくなったナナは彼へとしがみついていた。

 「おまえ、ここがどこだかわかってんのか?」
 笑った薔は、リモコンでバイブの振動を上げる。

 幸いなことに、周りには誰もいない。



 「……っは…っ、」

 ガクンッ――――…

 堪らずに砕けたナナの腰は、抱き上げるようにして支えられ、

 「行くぞ?」

 そのまま支えながら、薔はエントランスへと向かって歩き始める。


 「ん…っ、……っ、」
 ナナは彼にしがみついていないと、もう歩けなくて、

 「そんなに感じてたんだな…」
 意地悪く言葉にして、薔は彼女の髪へとそっとくちづけた。

 「もう少しの辛抱だ…」












 エレベーターに乗り込むと、バイブはさらに強く揺れ動き始め、

 ぐいっ…

 「あ…っ、」

 手首を掴まれたナナは、壁へと押しやられると、

 ちゅっ…

 くちびるを奪われていた。



 …ッ…じゅっ…くちゅっ…

 「ん…っ、は…っ、ン、」
 初っぱなからディープキスを交わしながら、15階へと昇り詰めてゆく。

 「んんんっっ…」
 イけそうなくらいにナナが感じてしまうと、バイブの振動はぴたりと止められ、

 「…――――まだダメだろ?」

 くちびるを離した薔は、不敵に微笑んだ。


 「いじ…わる……っ、」

 ナナは吐息のなかへと、混ぜて振り絞る。

 ふっと妖しく笑った薔は、今度はとてもやさしくくちづけてきて。




 くちびるが離された次の瞬間、途中で一度も開くことのなかったエレベーターの扉が、15階で開いた。

 グイ――――…

 「あ…っ、」

 ナナはちょっと強引に、彼に連れられ歩き出される。







 グチュッ…

 「……っん、」

 振動をしていない玩具が、歩けば中で動いてしまうのに。
 それに、彼のぬくもりを感じるだけでもう――――…

 全身がふるえてしまう。





 愛の巣に辿り着くと、花子と豆のお出迎えはなしで(きっと仲良く眠っているかと)、

 「あ…っあ、ン、あ…っ、薔ぅ…っ、」

 限界などとうにいいところだったナナは、玄関のドアが閉められるとすぐさま、甘ったるく淫らにふるえながらせがんでしまった。

 「も…っ、ここで…っ、して…くらさ…っ、あ…っ、」

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