※※第177話:Make Love(&Make Love!).9








 ジムマニアの如月はプロテインがどうのこうので、食事には同席しませんでした。


 土曜の夜ということもあり、レストラン内はまだまだ賑わっております。

 席に着くと、さっそく料理の注文を済ませてから、

 「こいつが一通りの資料だ。」

 夕月は何だか、大きくてちょっと厚めの封筒を薔へと手渡したのである。

 「ありがとう、夕月さん。」
 やはり薔は夕月の前だと、とたんにしおらしくなるようですね。

 (か…っ、可愛い…っ、)
 萌えに萌えるナナだが、玩具が中で動いているためなかなか声に出すことができない。



 手渡された封筒の中身は、ナナと薔が頼まれているハリーと葛篭先生の結婚披露宴の余興についての資料で(夕月特製有り)、中には可愛らしいペーパーアイテムの作り方までもが入っていた。
 郵送という手段を取らずに、わざわざ持って会いに来たということは、夕月にとっては余程薔からのお願いが嬉しかったようだ。




 ありがとうと言われた夕月は、

 「素直だな、可愛いもんだ。」

 笑って口にした。
 ナナさん心の中で激しく賛同。


 「可愛いとか言われても嬉しくねぇよ。」
 薔はなにげに、照れた。



 「わ…っ、わたしいつも、可愛いって、言ってますけど…っ!」
 ここでナナは何とか、声を上擦らせずに言葉にすることができ、

 「ナナちゃんが言うのは嬉しいってことだろ。」
 「夕月さんの時も、嬉しそうでしたよ…っ!」
 「もうやめろよ、」

 玩具を入れられた状態でのちょっとした形勢逆転か?



 そのとき、

 ヴヴヴヴヴッ――――…

 バイブの振動が上げられちゃったのだ。
 ファミレスの中では、振動音も巧くかき消される。


 「…………!?」
 驚いて感じたナナは、否応なしに潤んでしまう視線を隣へと送り、

 「ばーか」

 と口だけ動かし彼女に向かって薔は言った。




 ちょうどその頃、料理が運ばれてきたこともあり。
 会食が始まる。

 玩具が中で動いて、気持ちよくて仕方ないのだけど表には出さないようにと、ナナは一所懸命。




 夕月に教えてあげたい、じつは彼はこんなにもいじわるですと。
 けれど絶対に、誰にも教えてあげない。

 これは、ふたりだけで共有する甘い劣情の世界。
 そこには他の誰も足を踏み入れることなどできやしないのだ。



 ナナは改めて思い知る。
 それは、優越感に似ていた。
 彼に閉じ込められたいと思うそれこそが、彼女にとっての独占欲でもあった。

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