※※第176話:Make Love(&Manacle).100
………………え?
突然の懐かしき言葉にドキッ!とし、ナナは目をぱちくり。
ところが、やはり俯き加減に薔はつづけた。
落ち着きはらったまんまね。
「あいつでさえ“ばかやろう”だったが、俺には懇切丁寧にクソまで付けやがったからな、」
…………えええ?
「おかしくねぇか?何でおまえの大好きな俺のが酷でぇ呼び方されなきゃなんねぇんだよ。」
……ぇぇぇぇぇえええ!?
「懐かしいですね!それはわたしもほんとうにすみませんでした!それから、大好きは一つじゃ足りませんのでもっと増やしてくださいよ!」
「ならいくつにすりゃいいんだ?」
論点がずれ始めました。
ここは完全なるふたりっきりワールドでございます。
「ふごっ……」
「部長…!静かに…!」
大笑いが邪魔にならないようにと、部長さんは部員くんらの手により口を塞がれている。
「えーと…、いくつですかね…?それは、数えきれませんので……あっ!わたくし閃きましたよ!無限大です!大好きの後に×(かける)無限大をつけてください!」
「俺は自分では付けねぇが、おまえはちゃんと付けろよ?」
「かしこまりましたぁ!」
ナナはピシッと敬礼する。
「そろそろ稽古始まるんじゃねぇか?」
「そうですね!」
……ぷるぷるっ…
え?今のは喧嘩だったんですよね?
周りは稽古どころの話ではない。
ミラクルな解決がなされましたけれど、おそらく喧嘩だったのだと思われますよ。
このあとは無事に、部長さんは大笑いを再開し劇の稽古も開始されたのだった。
ちなみに和湖部長は途中で力尽き、ほへぇ〜…としているばかりで活動自体にはあまり参加できなかったようです。
いっそ大笑い担当でいけばいいのかもしれません。
――――――――…
本日の部活動は、16時でお開きとなりました。
日はだんだんと長くなりゆくため、夕焼けの赤はまだ空に顔を出していない。
「さっき台本で読めない漢字があったんですけど、どれだか忘れちゃいました…」
「これじゃねぇか?」
「あっ!そうです!」
ナナと薔は本日の稽古のおさらい……でもないような台本の読み合わせをしたりして、手を繋いで仲むつまじく家路を歩いていきました。
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