※※第174話:Shout of Love.1







 「何でドア壊れてんの?って、ひぇぇぇえええ…!暮中先輩!?」

 いちおう傘を差してきた模様のあかりは、恐れおののいた。


 「あかりちゃん…、何事?」
 オトコはあかりの登場に、おろおろしだす。
 というかむしろ、色めき立った(なるほど)。





 「なぁ、」

 ……びくびくぅぅううう!

 一声であかりとオトコを畏怖させると、

 「花子がびしょ濡れなんだよ、頼んでもいいか?」

 花子の頭を撫でた薔は、あかりへと問いかけた。









 「お、おまかせあれ…」
 たいそうびくびくしながら、あかりは承った。

 「風邪引かねぇように、ちゃんと乾かしてやってくれ…」
 いい子にしているようにと言い聞かせるみたいに、花子のあたまをやさしく撫でると、

 薔は奥へと走っていった。









 「えっと、花子ちゃん、乾かしますね…?」
 仰せつかったあかりは、タオルやなんかを用意する前に、

 「あんたは早く帰りなさいよ!帰る前にそのドア何とかしてってね!」
 「えええ!?」

 オトコをドアの修理へと繰り出ささせた。





 このとき、傘を預かり言いつけを守ろうとする花子は、それでも、

 どこかしら落ち着かない様子を終始見せていた。


 走りだしてすぐに脱ぎ捨ててしまった、ご主人さまのブレザーが気がかりだったのだろうか?
















 ――――――――…

 「……っ!」

 不意に、屡薇の躰はかなりふるえたのが、真依にも伝わってきた。


 「あーあ、真依さんが擦るから俺、出しちゃったよ…、かっこ悪…」
 荒くなった息づかいで呟いた彼は、ゆっくりと離れてゆく。

 「ぇぇえ…?」
 何だかんだで興味津々の真依は、ソコへと視線を送っちゃった。



 「とりあえず拭くからティッシュもらってもいい?」
 「洗濯するから脱ぎなさい!」
 「わお、そんなカッコで、真依さんてけっこう大胆だね。」
 「そういう意味じゃなーい!」
 たいそう慌てふためき、着衣を整える真依。

 ……いちおうね、お醤油もかかっておりますんで。


 この状況でも熟睡できている豆はさすがと言うべきか、ちゃんと鍛えられていたのだなと言うべきか。




 今夜もきっと屡薇は真依のアパートに、お泊まりしていったのでしょう!

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