※※第174話:Shout of Love.1








 「OH〜!お任せくだサーイ!このおフダにワタクシの〜、ちからを吹き込めばよろしいのデスネ〜!?」
 HAHAHAと笑うハリーの目の前のテーブル上には、大学ノートを切って作られたおよそ20枚のお札とやらが置かれていた。


 「ほんとうはぁぁ、コモチ先生ぇの攻守でいきたかったんだけどぉ、時間がないからザザえもんにしちゃったぁぁ。」
 お札制作者のこけしちゃんは、ペンを片手にふぅぅと汗を拭う。
 おっとりにおいてのフルスピードで、お札制作を手掛けました。



 (方向転換の仕方がさすがだな…)
 醐留権をはじめ、周りはそう思っている。

 何てったって、

 ボーイズラブ→国民的アニメ

 だからね。


 時間があればコモチ先生バージョンも見たかった気がしますけれど。





 「でハ、まいりマス…」
 ハリーはいつにもなく真剣な表情で、お札たちに両手を翳す。
 片手にはロザリオをしかと手にしております。

 ゴクリ…

 周りは息を呑む。




 「頼もしいお友達がいて、良かったわね、雅之。」
 「そうだね!ハニー!」
 ナナ父とナナ母は、あまり邪魔にならないようにとキッチンにて夕食タイム。
 ナナ父は泣きながら冷やし中華を食べておりますが。






 そして、ハリーの呪文は唱えられた。

 「これっくらいのランチボックスにおにぎりをちょいと詰めるんだ!きざみしょうがにごましお振って、にんじんにさくらんぼにしいたけににごぼう!あなのあいたれんこんにすじの通ったふき!それからお母さん僕は唐揚げも入れてほしいんだよ!ビビデバビデブーン!」










 …――――――胡散臭い!(しかもおべんとうばこのうたとビビデバビデブー?)







 「………………。」
 こけしちゃんはにっこにこ、醐留権は眼鏡をくいっ、羚亜と愛羅は呆気。

 「Fu〜!これで立派なおフダが完成いたしマシタ〜!」
 達成感に満ちるハリーは、陽気に汗を拭った。










 その頃、

 「姉ちゃんはまだ帰ってきてませーん!どうせデートなんじゃないのお?」

 司は玄関にて、あかりの対応中にも拘わらずふてくされておった。

 「…チッ、桜葉先輩にも彼氏いんのか…」
 舌打ちをしたあかりは残念そうに呟き(君も通っている高校の教師だけどね)、

 「おれたちずっと待ってるのにね?ゲイちゃーん、」
 「ニ゛ャー(※とりあえずおれの腹を撫でんな)、」

 司は抱っこしているゲイちゃんに同意を求めた。



 すると、

 「えぇえ?ゲイ……ちゃん…?」

 百合キャラのあかりは若干引いたのである。





 そこを容赦ないのが、ゲイちゃんであった。

 “おいてめえ、まさかキラキラネームだとでも言いてぇのか?”
 キランとした視線で迫る、猫界のサディストちゃん。



 じり…

 「あの、桜葉先輩の連絡先を、教えてください…、非常事態なんです…」

 たじろぐあかりがこの世で最も嫌いというかむしろ苦手なのは、美形でSな男でございます!

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