※※第173話:Stray(&Masturbation).1








 「ふぅ…、良かった、あのひとちゃんと傘持ってってらっしゃるよ……」
 雨が降りだしそうなため心配になり、そのことをきちんと確認してからナナはほっと胸を撫で下ろした。
 ……傘という、ひとつのものを取ってみても、思い起こせることはたくさんあった。




 リビングへと、戻ってきたナナは、

 (あ…、どうしよう…、こんなときに……)

 もじっ…

 こんなときだからこそか甘い匂いに刺激され、ソコが切なく疼いてしまったのである。



 いつもなら、薔が何かしらのエッチなことを仕掛けてくれるわけなのだけど、今日は未だ待ちぼうけを食らっている。
 帰ってきてからも、触れてもらえないかもしれない。

 …――こんなえっちな躰にしておいて、ぜんぶ彼の色に染めておいて、今さら離れろだなんて……できるはずがないのに。




 「え…っ、えっと……」
 頬を赤くしたナナには罪悪感が迫りきていたが、一度火照りだしてしまうと治めることはできない。

 気を利かせた花子は、お部屋で一休みしている模様だ。




 ずっともじもじしていたナナだったが、クローゼットのある寝室へとおもむろに向かうと、“あるもの”を拝借してきちゃった。







 ギッ…

 頬をさらに赤くして、ソファに腰掛ける、ナナ。

 「うううっ…、これじゃわたし、変態だよぉ…」
 とか言いながら、穴の開くほどに、彼のシャツを眺めております。


 そんでもって、

 「お…っ、お洗濯していないほうが…良かったな……」
 だいぶ恥ずかしい本音を振り絞ると、

 「ん……」

 思いっきり顔をうずめてみた。

 (でも…、あのひとの匂いがする……いい匂い……)












 じわっ…

 蜜は着々と、パンツに染みだしてくる。

 「……っ、は…っ、……あ、」
 彼のシャツをつよく手にしたまんま、ナナはゆっくりとソファへ横になる。

 そして、

 「ん……」

 スルッ――――…

 彼女は大胆に、スカートを捲り上げた。

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