※※第172話:Make Love(but…Stray).99










 「あ…っっ!」

 ビクッ…!ビクッ、ビクンッ…!

 戦慄いたナナは、絶頂を得た。

 「……っ!」
 薔も彼女の中へと、何度目かの射精を。

 太股を、ふたり混ざった液が伝い落ちる、幾重にも。
 いっそのこと覚めない夜に魘されつづけていたいけれど、夜明けは刻一刻と近づいていた。





 グチュッ…グチュッ…

 「…――――かは…っ、」

 息が、擦りきれる。

 それでも突かれつづけ、ナナは意識が遠のいてゆくのを感じた。
 そこへと手を伸ばすことは、もはや、叶わない。






 すべて、彼の本心ではないと、嫌というほどにわかっている。
 ただただ、愛おしさは募る。


 今、伝えたいことを、死に物狂いで渇いた喉へと上げたナナは、

 「…――――――――薔…」

 消え入りそうな言葉を、はっきりと、浮かべたのだった。

 「大……好き…………」










 スゥ――――…

 やがてナナは眠りに落ちるように、意識を手放した。



 「……はぁ…っ、」
 ゆっくりと、抜いてゆくと、


 「…――――――っ、」

 淫れきった彼女の躰を抱きしめ、薔は、

 泣いた。















 …――――愛が終わるとき、

 それは必ずしも愛の終わりとは限らないのだ。














 …ひらっ――――…


 「もうすぐ、“あの日”が来るね…」

 明けゆく夜の闇の中へと、男は真っ白な薔薇の花びらを次々と散らせて、呟く。

 「高く積み上げれば積み上げるほどに、壊れる時が美しい……」




 そして男は、

 笑った。









 突然、風は吹き荒れた。
 空へと舞い上がる花びらの色は、

 何という、蒼白。















  Please tell me why――…

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