※※第172話:Make Love(but…Stray).99








 プレゼントも無事に届き、わんちゃんのためのヘルシーなケーキも完成して、パーティーの準備も整った頃にペットサロンからもうすぐ儀式終了のお電話がありました。

 ドキドキワクワクのナナと、そんな彼女の溢れんばかりの様子に笑いを堪えている薔は、手を繋いですっかり日が沈んだ夜の道を歩いていったのでした。














 ――――――――…

 きゅぴーん

 として、トリミングを終えた花子と豆はふたりのお迎えを待っていた。
 首輪も新しくなり、耳には大きさは違えどもお揃いの、薔薇のついたリボンが飾られております。
 こちらはスタッフさんの粋なサービスで。

 見ようによってはまるで、大きい彼女と小さい彼氏のようではありますな。



 「おっ…、おふたりとも、きれいになって…!」
 大感動のナナは、感嘆の声を上げ、

 「いい子にしてたんだな。」
 “はいっ!”
 “ねえ、花子ちゃんのごしゅじんさま、ぼくのあたまもなでてよ!”

 ご主人さまにあたまをなでなでされ大喜びの花子の隣、豆もあたまを撫でてもらいたいようで、薔へとじゃれつき始めた。


 “あっ!こら、豆くん!”
 よって、花子がやきもちを妬いた模様。

 “私のご主人さまなのよ?”
 “わーい!花子ちゃんとあそぶ!”
 しかし、豆は遊んでもらえると勘違いした模様。






 「か〜わ〜いいーっ!」
 しゃがんだナナは、微笑ましくわんこたちの様子を見守っていたのだが、

 “だっこ!”
 「まめちゃん!?」
 「こら、」

 豆がもぞもぞとスカートの中に潜り込もうとしたため(またか)、すかさず薔が豆のほうを抱き上げた。







 (ほのぼの…)
 スタッフさんがたがウフフとするなか、

 「ったく、油断も隙もねぇな、」

 尻尾をピコピコ振る豆を抱っこしたまんま、薔はお会計に入り、

 「花子ちゃん…、かわいすぎるね…、写真撮りたいよね……」
 「ワゥン…」

 乙女たちはたいそううっとりしておりましたとさ。











 目を凝らせば星が瞬きそうな夜空の下を、さんにんとたまに豆サイズは愛の巣への道のりを仲良く歩いていきました。

[ 131/537 ]

[前へ] [次へ]

[ページを選ぶ]

[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]


戻る