※※第171話:Make Love(&Pain).98








 「後片付けが終わったら、劇の練習しますか?」
 と、一緒に後片付けをしている彼へとナナは尋ねてみた。
 花子と豆はお部屋にて、寄り添いすやすやと眠っている。
 只今ナナと薔は、並んで手分けして食器を洗っております。

 しかし、返事は返ってこなかった。
 今しがたまで、楽しくお喋りをしていたというのに。


 「薔……?」
 ナナはちょっと控えめに、彼を見上げた。



 その瞬間、

 ガタンッ――――…

 薔はいきなり、水道のレバーを下げたのだ。
 響いていた水音がぴたりと止まる。






 「それより…キスしてもいいか?」
 甘い視線を送り、彼は投げ掛けてきた。

 「今すぐおまえを乱してぇんだよ…」









 「あ…っ、あのっ…」
 頬を赤くしてキョロキョロしたナナは、洗いかけの食器を慌ててシンクに置くと、

 「お願いします……」

 潤んだ瞳で応える。



 するとすぐに、

 グイッ――――――…

 掻き抱くように、かなり強引に抱き寄せられ、

 …くちゅっ……

 くちびるを奪われていた。









 「ん…っ、は…っン、」
 初っぱなから、何ともディープだった。
 絡みあう舌と舌が、卑猥な音を聞かせている。
 激しく求められすぎて、窒息してしまいそうだ。

 ちゅくっ…ちゅぷっ…ッ…

 「…――っん、ン、んん…っ、」

 ふたりとも手は濡れたまま抱きしめあっているため、衣服や髪や肌が水に濡れる。
 でもいっこうに構わない、これからどこまでも濡れるのだから。





 「……っ、は…っ、」
 いったん、少しだけくちびるを離して見つめあえば、糸を引かせた唾液はふたりのあいだ滴り、

 「…――――もっとだ、」

 …ッ…はむっ…

 「んんん…っ、」

 息もできないほどのキスは、再開されたのだった。











 「ん…っん、ん…っ、」

 ガクンと、否応なしに腰が砕け、支えるみたいにつよく抱きしめられる。
 心まで射抜く、心地よく甘い匂い。

 この体温じゃなきゃ駄目だと、骨の髄まで感じている。

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