※※第169話:Make Love(&Sex aid).11






 「あっ、ごめん、まだ友達だった、」
 屡薇は慌ててくちびるを離す。


 ところが、

 ポロポロッ…

 真依は真っ赤で唖然としたまま、泣き始め、

 「かかかか帰る!」
 「えっ?ちょっと、待って!真依さん!」

 鞄を掴むとものすごい剣幕で、玄関を飛び出していってしまった。







 一緒に食べていた彼女の手作りのドーナツに、視線を落とすと、

 「だって、真依さんが可愛いこと言うから…」

 頬を赤くした屡薇は、口元にそっと手を当て呟いたのでした。













 ビューンッ!

 「おおおっ…!?」
 マンションに辿り着いたナナと薔の横を、疾風のごとく真依が駆け抜けていった。



 「いっ、今のは、フウちゃん!?」
 「いつの間にそんなあだ名がついたんだ?」
 ナナはちゃっかり、真依にまであだ名をつけておったようです。

 「あっ!こないだのお弁当が入っていた袋に、風船の絵が描いてあったんですよ!」
 「ふーん、」
 由来についてを彼女が、力説していると、

 「何で俺の場合はまともなのが付けらんねぇんだよ、」

 薔はいささか、ふてくされ始めた。




 ※ナナが練りに練って考え出した彼氏のあだ名は「エロ薔薇王子」である。








 「エロ薔薇王子のどこがいけないんですかぁ!?」
 「そんなあだ名で呼ばれてる俺を想像してみろ。」

 ………………。

 ナナは言われた通りに想像してみた。


 「とてもエッチで薔薇のよく似合う素敵な素敵な王子様だと思います!」
 「…ここで犯すぞ?」
 「ぇぇぇぇえええ!?」

 とまあこんな風に、ふたりがたいそうイチャつきながら歩いて来ると、

 ズ――――――ン…

 愛の巣のまえに、沈み込む屡薇が膝を抱えて座っていた。




 「何があったんですか!?」
 「やっぱいたか、」
 ナナはびっくり仰天だが、薔はだいたい見当がついていたようだ。

 すると、

 「薔ちゃん…!」

 屡薇は思いっきり、薔へと抱きついてきたのである。

 「大親友として俺の相談に乗って〜!」







 「ぎょわあああ!抱きついちゃダメーっ!」
 「通報してもいいか?」
 「いててててて!そんなに強く引き剥がさなくても!」

 ……ああ〜、なんでここに、

 こけし姉さんいなかったかな!

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