※※第130話:Make Love(&Make Love!).5
(お値段が、書いてない…)
商品のタグを手に取ったナナは、ゴクリと息を呑んだ。
「しょ、薔っ!」
「あ?」
そして彼の服をくいくいと引っ張って、わたわたと尋ねてみたんです。
「ここ、全部お値段書いてないんですけど、そんなに高いんですかね…?」
と。
「………………、」
一瞬、黙り込んだ薔だったが、
「どっかに書いてあんじゃねーのか?」
笑いを堪え、そう返した。
「ほんとですか?だってこんなにいろいろあるのに、お値段書いてないなんておかしくないですか?」
ナナはちょっと真剣になって、店内を見渡す。
その反応が面白すぎるため、商品はすべて税抜き100円だということを、教えてあげる気は薔にはさらさらございませんでした。
「わぁ!これ素敵です!でもちょっと高そうですね…」
「そうだな、」
この物語はまだ2月ですので、税込だと105円のマグカップを手に取りナナははしゃぐ。
そんでもって、
「うぅ〜ん…、ここは、思い切ってみます…」
ナナは、一大決心をした!
「ふたつ買って、なにか薔とお揃いにしたいです!」
「だったらこれにすっか?」
「わたしもこれがいいと思いました…、ちょっと高そうですけど…」
と、言いますことで、105円のマグカップを色ちがいでふたつ、購入でございます!
お会計の際、
「210円になります。」
と、店員のお姉ちゃんに告げられたナナさんは、
「えええええ!?」
びっくり仰天した。
それ以上にお姉ちゃんのほうが、びっくり仰天していたのかもしれないが、
「やっ、安いっ…!」
ナナは目をキラキラさせて、感嘆の声を漏らしました。
…うわぁ、百均でなにこの反応、めっちゃ新鮮。
お姉ちゃんは思わず笑おうとしたのだけど、隣のひとのオーラが凄すぎるためとてもじゃないが笑えはしなかった。
マグカップをふたつ購入したナナは、たいそうほくほくとしておりました。
「すっごくいいお買い物しちゃいました!薔のおかげです!ありがとうございます!」
「こっちこそありがとな、」
彼の言葉には、面白れぇもん見せてもらっての意味ももちろん含まれてございます!
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