※※第130話:Make Love(&Make Love!).5







 「あのぅ、薔…」
 「なんだ?」

 すでに洋服やアクセサリーなんかをいくつか買ってもらっているナナさんは、控えめに申し出てみた。

 「わたしも何か薔に、買って差し上げたいです…」

 と。





 「俺はいーんだよ。」
 立派に言い聞かせる、薔ですが、

 「だって…、いつも美味しいご飯作っていただいたり、してますんで…」

 もじもじするナナは、ちょっと上目遣いだ。




 「………………、」
 薔はかなり、ムラッときちゃったようなんだけど、

 「なら、そこに入るか、」
 「はいっ!」

 斜め前にある何だかファンシーなお店へと、彼女の手を引いて歩いて行きました。















 ――――――――…

 “劇場版ドS探偵ゴルゴンゾーラ・VS怪盗レッドチェダー!〜マリボーの復讐とゴーダの野望〜”

 初の映画化で、タイトルにいきなり4つもチーズだった。





 『待てマリボー!君はもしや、モンドールの居場所を知っているのか!?』
 『知っていたらとっくに、おれが彼女を救い出しているさ…』
 どうやらマリボーというのは、ゴルゴンゾーラさんの婚約者に密かに想いを寄せていた男のようで、

 (ああ、ロマンチック…)

 女性たちにはかなりキュンとくる場合もある、設定だった。





 (よくよく考えたら私には、これが初のゴルゴンゾーラだったな…)
 醐留権は内容を、理解するのにけっこう必死。

 (あぁぁ、マリボーもイケメンぅぅ。)
 こけしちゃんはいっそ、このふたりでラブロマンスを繰り広げてほしいんだけど。






 『もうすぐ怪盗レッドチェダーが、現れる頃だ。』
 月を見上げたゴーダとは、敵でも味方でもないように見せかけて実はレッドチェダーと繋がっているという男で、

 『モンドールは私の婚約者だ!』
 『お前、依頼人の女を抱いてるそうじゃないか…』

 こちらはそれどころじゃない。






 (探偵が、依頼人の女を抱く?婚約者があるというのに?)
 醐留権は、面食らった。

 (私はこんなキャラと瓜二つなのか?)




 ……ゾーラ先生は教師で生徒抱いてるけど、オンリーワンだからいいか。






 『モンドールを裏切ったその、理由を聞かせてほしいね…』
 『いずれお前にもわかるだろう。』
 皮肉な笑みを浮かべるマリボーの前、ゴルゴンゾーラは鋭い眼差しを向けているのだけど、

 (私にも聞かせてほしいぞ!)

 醐留権は、心で要求した。



 (あぁぁ、そっくりぃぃ…)
 キュンキュンゥしちゃう、こけしちゃん。





 …映画館も盛り上がってるぜ!

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