※※第130話:Make Love(&Make Love!).5
…――――痛く、甘く、
揺さぶり、堕ちる、
比類無き愛に全てを囚われて。
「司!おれにも構えよ!」
テレビの前にて、慎は嫁にちょっかいを出しておった。
「慎くん、うるさいよ!おれはポストンジャーに夢中なんだから!」
当の嫁である司は、ヒーローに心奪われているため旦那を邪険にする。
(くっそ〜!)
慎は先ほどからちっとも、ポストンジャーを観てはいなかった。
(おれの可愛い司に“夢中”とまで言わせちまう、こいつが憎くて仕方ないぜ!)
そしてここでようやく、憎悪の眼差しを向けてみたのだ。
『おのれ、クロヤギタンめ!私の武器である手紙を片っ端から食べるんじゃない!』
『メェ〜メッメッメ!おれさまに手紙など通用せんわ!』
テレビではポストンジャーが、なかなかの強敵相手に苦戦しているようだ。
それより、届ける前に手紙を武器にしちゃっていいの?
「こうなったらおれは、クロヤギタンを応援してやる〜!」
慎はムキになって、怪獣のほうへ熱き声援を送り始めた。
すると、
「あーっ!慎くん、見る目あるよ!クロヤギタンはなにげに人気あるんだあ!」
司が、けっこう輝く瞳で食いついてきた。
「え?そうなの?」
「だってクロヤギタンさあ、いつもポストンジャーの攻撃がちっともきかないんだもん!おまけにちょっとかわいい!」
ここらでなかなか、盛り上がったんです。
(おれは、お前のが遥かにかわいいと思うぜ…)
慎がだいぶ、ニヤケていると、
「そういえば慎くんて、クロヤギタンに似てるね!」
テンション高く、司が言いました。
「なーっ!?おれ、あんな緩い顔してんのか!?」
「今は似てなーい。」
「司はほぉぉんとぉ、慎くぅんが好きだねぇぇ。」
ニコニコとおやつを差し入れする、母。
“どう考えても逆だな、逆。”
さすがなゲイちゃんはさりげなく、訂正してくれました。
…――ここ、桜葉宅だったか!
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