※※第163話:Make Love(&Public sex).2







 「あのぅ…、」
 「なんだ?」
 昇降口へと向かうなか、ナナはずっと気になっていたことをいざ口にしようと決心した。


 そして、やや控えめに彼を見ながら、

 「薔は…、わたしと別々のクラスでも、平気なんですか…?」

 と、思いきって尋ねてみたのである。

 すると、

 「…平気に見えんのか?」

 静かに聞き返されてしまった。


 「そ、そうですね…、あっ、でも、平気だとおかしいってことでは、ないですもんねっ…」
 その聞き方があまりにも落ち着いていたことに圧倒されたナナは、しどろもどろとなり、

 「ふーん…」

 グイッ――――…

 そのまま薔は強引に彼女の手を引くと、昇降口へは向かわずに階段を上り始めた。




 「え…っ?あのっ…」
 ナナは何事かと、慌て、

 「黙ってついて来い。」

 と有無を言わせぬ雰囲気で言われてしまえば、従うしかありません。





 途中、とても懐かしいことをふと、ナナは思い出していた。
 まだ、ふたりが恋人同士になる前、ふたり一緒に階段を上りながらドキドキしていたあの感覚。

 この先には、そうだ、学校の屋上があった。
















 バタン――――――…

 ドアを閉めるとそこはあたたかい風がやわらかく吹いており、青空へほんの少しだけ近づいたかのような気分になる。
 さいわいなことに、屋上にひとけはなかった。


 入ってすぐの日陰となった場所で、ナナの背中は壁へと押し当てられ、

 ドサッ…

 勢いによって鞄はコンクリートの上へと落ちる。


 ドキドキと胸は、高鳴る一方で、

 「平気なわけねぇだろ。」

 その壁、入り口側へ手を突いた薔は覗き込むようにしてはっきりと告げたのだ。


 「す、すみません…」
 上目遣いに、ナナは小さく返し、

 「まぁ、俺が平気に見えたのはおまえのせいだよな、」

 ツッ――…

 「……っあ、っ…」

 笑った彼はいやらしい手つきで、頬を撫でてきた。

 「あんまりにも可愛すぎて、どうにかする事ばっか考えちまってた…」

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