※※第160話:Make Love(&Insert).90







 せめてどこかに触れていてほしくても、触れてすらもらえなくてすごくじれったい。
 すったもんだサーモンだは、ちっとも頭に入ってきません、見てはいるのだけど。



 勇気を出して自分から触れてみようかな…と、ナナは思うものの、なかなかその勇気が出せないのであります。
 何だかんだで、言い出したのは自分なのだから。


 しかし、ふと、

 (でも、触るのって別にエッチなことじゃないよね?)

 という考えに、ナナはたどり着いたのだ。
 前回のDVD鑑賞では、観ている間は触るだけに留まっていたのでね。


 そして、いざ触れん!という前に、

 チラリ…

 ナナは彼の様子を窺ってみた。




 まさかのまさか、薔は寝ているようでした。




 (えええええ!?このひと寝てらっしゃるよ――――――――――――っ!)

 おーっ、ぉーっ…(※激・寝顔萌えのエコー)

 こころにて、雄叫びを上げるナナ。




 (わたしはずっとドキドキしてたのに、こんっな可愛い寝顔で寝てらっしゃるだなんて…かわいい!写真撮りたい!)
 よってまじまじと、見つめることができたナナさんは、

 (しゃ、写真撮らせていただく前に、ちょっとだけ触っちゃおうかな…)

 近づいて、そろりそろりと右手を伸ばした。
 ザザえもんはとうにそっちのけでございます。


 そんでもって、

 (ど、どこに触ればいいんだろう?)
 起こさないようにするにはどこがベストなのかと、吟味するナナの手はときめきにふるえていて、

 (ああっ!ここだ!)

 思いきってやわらかな髪へと触れようとした瞬間、

 グイッ――――…!

 強引にその手を掴まれ、抱き寄せられちゃいました。


 「引っ掛かったな?」













 「び…っ、びっくりしましたよ…」
 心臓は高鳴る一方のなか、心地よい体温にも包まれたナナは小さく言葉にしてみる。
 ソファのうえにて、半ば彼へと乗っかっちゃっている状態だ。

 「だからドキドキしてんのか?」
 鼓動はどうやっても伝わるため、薔はクスッと笑って、

 「えっと…」

 その言い方からして見透かされている、ずっとドキドキしっぱなしだったことを。




 「触るだけなら……良かったん、ですけど…」
 だから思わず、話を逸らして、

 「ばかだな、おまえ、」

 ゆびの背でそうっと、頬を撫でた薔は甘く見つめながら告げたのだった。

 「触れたらエロいことしたくなるだろ?」

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