※※第159話:Make Love(&Attachment).89
「あぁ、癒されるわ〜。」
とりあえずありあわせの材料で何を作ったんだかよくわからない昼食を作った屡薇は、既製品のごはんを頬張るわんこたちの様子を眺めながらテーブルにてのほほんとしておった。
「にしても俺が作った飯はくっそ不味いわ、なにこれ?」
「ワンッ(※ごしゅじんさま、ふぁいと)!」
なかなか最近、屡薇と豆もいいコンビのようですね。
“ちゃんと作るようになっただけ成長したじゃないの、”
と、花子は大サービスで褒めてあげまして、
「薔ちゃん夫婦よ早ぇとこカムバック、あ、でも花子ちゃんがここにいるって知れたら俺殺されるかも。」
よくわからない昼食を頬張り、屡薇は呟く。
「ワンッ(※ご主人さまとナナちゃんをあまり急かないでちょうだいね、さすがに殺しはしないわよ?)!」
「あはは、花子ちゃんはやっぱご主人様の名前に敏感だね、」
花子は一声鳴いてみせたのだった。
(ほんとうは、会って手渡したかったけど、何話せばいいかわかんないしなぁ…、いいんだよ、これで。)
一階の集合ポストで念入りに部屋の番号を確認してから、封筒を丁寧に入れようとしたがなかなかその勇気が出せず、
(やっぱり無理だっ…!)
真依はそそくさと帰ろうとした。
そのとき、慌てすぎた彼女は、
ドンッ――――…
向こうから歩いてきた人物と肩をぶつけてしまったのだ。
「あっ、すみません!」
振り向いてすぐに頭を下げ、謝ると、
「いえいえ、大丈夫でしたのでお気になさらず!」
相手は明るく返してくれた。
「ありがとうございま」
と、真依が顔を上げると、
「おい、」
隣のひとはそう簡単には許してくれませんでした。
「俺の女にぶつかっといてこのまま帰れると思うなよ?」
(…――――――あれ!?)
真依の開いた口は塞がらない。
「いや、薔、わたしは大丈夫ですので…」
「おまえは黙ってろ、」
慌てふためくナナすら黙らせ、歩きだした薔は、
「来い。」
かなり険しい雰囲気で、真依を顎で使った。
(ひぇえええ…!)
真依は大人しくついて行くが、あれ?ゲイじゃなかったの?と思ってはいる。
(何か、何かがおかしいです…!)
そう悟ったナナは、彼と共に歩きながらかたずをのんだ。
エレベーターが向かう先は、もちろん、15階でございます。
修羅場!?
まさかね!
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