※※第157話:Make Love(&Endearment).88






 探しに探した真依は、表紙の絵からして登場人物がバンドマンだと思われる一冊を購入し書店を後にしました。



 「羚亜の聞き間違えではないのか?いっこうに兄は現れないんだが、」
 「ここだと思ったんだけどなぁ…」
 「俺はいつになったら帰れんだ?」

 美形キャラたちはいったん集まり、話し合いをし始めた。
 ちなみに目立っております。





 一帯の視線を独占状態にしちゃったところで、

 「日向(ひなた)さーん!!」

 突然、醐留権兄の声が店内に響き渡った。





 「奏さん!?ほんとに来たんですか!?てか静かにしてください!」
 日向と呼ばれたのは、30代前半かと思われる店員の女性で、

 「私は君に本気なんだ!100万回の告白でも何でもするから私と付き合ってくれ〜!」

 奏はレジのカウンターへ飛び乗った。




 …――――――その100万だったか!




 「お客様に迷惑です!」
 「じゃあ私も本買うからお客様扱いにして〜!」
 すごい告白きたなと、客は唖然とするなか、

 がしっ!

 奏はスーツの襟を掴まれ持ち上げられました。

 「兄さん、静かにしましょう。何なら私が警察に突き出してもいいんですよ?」








 「要ーっ!可愛い我が弟よ!まさかお兄ちゃんのストーカー!?」
 「ストーカーはまさしく兄さんですよ。」
 持ち上げられたまんま奏は大喜びし、

 「え?そちらほんとうに、奏さんの弟さん?」
 「そう!立派な我が弟だよ!」

 日向や周りのお客さんたちは動揺を隠しきれていない。



 「あ、この漫画まだ連載してたんだ、懐かしいな。」
 「ふーん、」
 薔と羚亜は、ここぞとばかりに無関心だ。








 そんでもって、

 「どうか兄の無礼をお許しください、すぐに連行いたしますので。」
 「要はしっかり者だな!」

 ゾーラ先生がきちんと、謝罪をすると、

 「あの…」

 瞳を輝かせた日向は、言ったのでした。

 「私、付き合ってもいいです…、奏さんはきっと、イケメンになる素質を持ってると思います…」








 …――――――――は!?






 「よろしくお願いします…」
 「こちらこそ!」

 結果的に、弟の登場により兄の恋は成就した。


 なんとなく店内には、拍手が巻き起こった。

 (そっか、これサプライズか!)




 今では唖然は、ゾーラ先生のみで、

 「俺あんまり小説読まないんだけど、オススメとかある?」
 「薦めてもどーせ読まねぇだろ。」

 薔と羚亜は終始、無関心でございます!

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