※※第156話:Make Love(&Whisper).87







 「Fu〜!懐かしのニッポンデース!」
 上記の台詞は空港に降りたってから言えばいいものを、ナナ宅の門を通過してからハリーは言いました。

 「ハリーさん、それですと、まるで三咲さんのお家だけが日本みたいな言い方ですよ?」
 「OH〜!それもそうデース!」
 これからナナ宅にお邪魔する葛篭先生は、行った時にはなかった荷物を手に笑っていて、

 「実穂子サン、まいりマショウ!」
 「はい。」

 つとめてKIRIRIとしたハリーは彼女の手を取り歩きだした。








 ガチャ――――…

 ナナ宅の玄関のドアを開けると、

 「おかえりなさい、どうぞ上がってちょうだいな。」

 期間限定のじゃがりこをポリポリするナナ母が、さっそくお出迎えで。

 「ハニーサーン、ただいまデース!」
 「お邪魔します。」
 そのうち夫婦は、仲むつまじく家の中へと。







 ハリーと葛篭が、寄り添ってリビングへ入ったとたんに、

 「ハリーぃ!」

 がしっ!

 土曜日だから休みのナナ父が駆けてきて、ベストフレンドへと抱きついた。

 「婚約おめでとう〜!」







 「OH〜!マサ〜!」
 男たちは熱く抱きあう。
 こけしちゃんの感想が気になる場面でもある。



 「HAHAHA〜!マサの娘さん夫婦のおかげでもありマスヨ〜!」
 「まだ夫婦じゃないよ!何言ってんの!?」
 陽気なハリーの言葉に、この期に及んでナナ父はいささか憤慨した。


 すると、

 「雅之、」

 期間限定のじゃがりこをポリポリしながら、ナナ母が立派に夫へと言い聞かせたのである。

 「いずれ夫婦になるんだからいいじゃないの、あなたには私がいるでしょう?それより、お茶を出すから手伝いなさい。」
 「ハニー!嬉しいよ!もちろん手伝うよ!」




 すぐさまナナ父は、妻の後をついていきました。








 リビングのソファに並んで腰掛け、ハリーと葛篭はその様子をあたたかく見守っていた。

 「ワタクシも〜、ああいう夫婦になりたいデース!」
 「娘さんカップルとは、ほんと、正反対のようですね。」




 ……要するにハリーさんは、いずれは葛篭先生の尻に敷かれたいらしい。

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