※※第154話:Make Love(in Private room).86






 ガクッ…ガクッ…

 「ぁ…っぁ、……ゃっ、」

 ふるえる全身。
 ふるえるくちびるから、甘い声は思わず漏れる。


 そのときだった。

 「しーっ…、誰か来た…」

 耳にくちびるを当て、薔が囁いたのだ。







 「…――――――っ!」
 ナナはとっさに、片手で口元を覆っていた。

 キィ――――…バタン…

 彼の言う通り、手前のドアが閉まる音が確かに聞こえて。




 「……っふ、ぅ…っ、」
 水音に紛らすよう、ナナは死に物狂いで声を抑えているようだったが、

 クスッ…

 と笑った薔は、露にする音を見事なまでに水音へと混ぜると、

 プッッ…

 「ん…っっ!?」

 素早くゆびを抜きながらパンツを下ろさせ、

 ズプンッ――――…!

 一気に挿入してきた。

 「っは…っっ!」









 グッ…グッ…

 隣に誰かがいるのに、突かれだす。
 しかも、タイミング悪くか善くか、さらに誰かが入ってきた様子で。


 「っっ、ぅっ、ふっ…っ、」
 挿れられてすぐにイけて、ほんとうに興奮しているのだと思い知らされナナはまた感じた。


 ビクビクッ…

 履いたままの靴が、脱げてしまいそうなほどつまさきまでふるえている。
 そのふるえを、抑えることなど到底無理だ。


 カリッ…

 「……っ、っ…っ、」

 耳が甘噛みされてから、キスで嬲られる。

 薔は容赦なく、

 ぐいっ…

 片脚を持ち上げるみたいにして、落とすと、

 グチュンッッ…

 「…――――――――っっ!」

 さらに深くへと挿れてきて、ナナは絶頂を得た。





 隣のドアが、開く音が響く。


 ジャア――…

 またしても巧く、淫音は水音に紛れてゆくけれど。



 グチッ…グチッ…

 (あ…っ、もっ、はやく…っ、)

 さすがにイキ声は、響いてしまうだろうと泣き濡れるナナは必死になって、この空間にふたりっきりになれることをひた願っていた。

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