※※第144話:Make Love(&Agreeable).79






 ちゅっ…

 ふるえるくちびるで、そっとくちづける。


 「はぁ……」
 薔が息を上げる。



 「……っん、ん…っ、」

 ぺろっ…

 時々、舐めたりしなから、ナナは彼の肌へと癒すように触れてゆく。



 ふと、

 「あの…、もっと上にも、キス…していいですか?」
 おもむろにからだを起こし、確かめると、

 「下じゃなくて?」

 笑って、頬を撫でられた。




 ……かぁぁぁあっ

 瞬く間に真っ赤となったナナさんは、

 「しししし下は、取っておいて、あとで、キスしますっ…」

 ちゅうっ…

 恥ずかしさのあまり、いきなり乳首へと吸いついちゃいました。



 「……っん、」

 枕のうえで少し髪を乱し、薔はふるえる。


 「気持ちいい…れすか?」

 控えめな音を立て、ナナはそこを舐めまわし、

 「……っ、気持ちよくさせたのは、おまえだろ?」

 彼は息を乱す。



 「そ…れすっ、」
 「ぁ…っ、こら、そこで喋んな…っ、」

 …おわぁぁぁぁあ…!

 キュッ――――…

 大興奮のなか、シーツもだんだんと乱れて。






 「はぁ…っ、……あ、っ、」

 吐息が声が、聴覚を撫でて堪らない。


 「ん…っ、は…っ、」
 夢中になって舌を動かしていたナナだったが、切なくてくるしくていてもたってもいられなくなって、

 「んんん…っ、薔ぅ…っ、」

 ぎゅうっ…と彼に抱きつくと、胸元に顔をうずめ振り絞った。

 「わたし、ヴァンパイアですけど…、薔の血はもう、見たくないです…」

 と。







 「不味くなったか?」
 「ちが…っ、」
 するとイジワルっぽく笑って返され、ナナはとっさに顔を上げ、

 スッ――――…

 ふと、彼女の頬へとやさしく触れた薔は、

 「ナナ、」

 真剣だけど少し潤んだ眼差しで、告げたのだった。

 「おまえが狙われたのは、俺のせいなんだ。」













 「え――――――――…?」

 ナナは、しばし唖然とする。


 「俺のせいでおまえが、誰かに傷つけられんのはどうしても赦せなかった…」
 薔はそっと、触れた頬を撫でると、

 「怖い思いさせて、ごめんな?」

 問いかけてきたのだ。

 「それでも俺はおまえを…どこにもやれねぇけど、いいか?」












 それは、確かめあうまでも、ない。

 「お願いしますよぉっ…!それにわたしっ、こわかったですけど、薔が大好きだから…っ、治せてよかったですもんんっ…!」
 抱きつき、ナナは泣き出した。


 「そうだな…、ありがとな、ナナ…」
 抱きしめ、薔は彼女のあたまをよしよしする。

 「俺はおまえを誇りに思うよ…」









 …――胸が、狂おしく痛む、

 互いに互いを愛しすぎて。

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