※※第142話:Make Love(&Melliferous).78
きゅぴーん…!
とっても美味しそうなワンちゃんのためのケーキを前に、花子の大喜びも最高潮でございます!
“豆くんには悪いけど、私にはやっぱりご主人さましかおりませんっ♪”
「もしかして今日は、花子ちゃんのお誕生日なんですか!?」
ウキウキと、ケーキと一緒の花子の写真を携帯に収めるナナの隣、
「違ぇよ、花子の誕生日は4月16日だ。」
デジカメに収めながら、薔はさりげなく花子の誕生日を明かした。
「今日は…、3月14日ですよね…?」
ナナは改めて、カレンダーで確認して、
クスッ…
と、薔は笑うと、デジカメをテーブルへと置き、
「ナナ、」
くいっ…
彼女の手をやさしく取って、言いました。
「おまえにもあるぞ?」
…………ぼぼっ
「え!?」
雰囲気のやさしさやなんかにより真っ赤っかとなったナナは、わたわたと声を張り上げた。
「わたしの誕生日は、3月14日でしたっけ――――――――――――っ!?」
えーっ、ぇーっ…(※エコー第二弾)
「10月31日だろーが。」
「そうですそうです!その通りでございました!」
花子が美味しくケーキを戴く前、ふたりは見つめあっていて、
「おまえはホワイトデー、知らねぇんだもんな、」
薔は微笑む。
「ほわいと、でー…?」
ナナは頬を赤くしたまま、はてなマークを浮かべ、
“ケーキも甘いけど、目の前はもっと甘いでございます♪”
花子はとっても嬉し恥ずかしそうに、尻尾をゆったりと振っていた。
――――――――…
「待ったかい?」
いつもの場所で待っていたこけしちゃんを、醐留権がお迎えにやってきた模様だ。
「今ぁ…、来たとこぉぉ…」
ほんとは楽しみすぎて早めに到着していたのだけど、はにかむこけしちゃんはにっこりと笑って、
バタン――――――…
コソコソォと彼のベンツへ乗り込んだ。
車はゆっくりと、発進し、
「今夜は知り合いの店を貸し切りにしたからね、制服のままで大丈夫だよ。」
彼女が気にしていたことを先に口にし、醐留権は前を向いたまま笑って。
「なんかぁ、反則ぅぅ…」
こけしちゃんはほっぺをさらに赤くして、小さく零し、
「何か言ったかい?」
醐留権はその、頬にそっと触れてみた。
「ううんぅ、何もぉぉ。」
にっこりと微笑んだこけしちゃんの頬を、撫でながら、
「そうか。」
微笑み返した彼はちゃんと気づいておりました、ちょっと冷たいということに。
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