※※第137話:Make Love(&Kissy).74







 やがて夜は、深まってまいりました!





 もじっ…

 夕食の後片付けやなんかを終えてから、ナナはソファにてますます落ち着かなくなって。

 その様子にちゃんと気づいている薔は、内心愉しみながらも隣で平然としております。

 花子は“ウフフ”。




 内容はあたまに入ってこないが、とりあえずテレビはついているようだ。


 (ううぅ…っ、どうしよう…、なんか、もう、おかしくなりそう…)
 だいぶ内股になって、俯きがちにもじもじしていたナナは、

 「あっ、あのっ!」
 「なんだ?」

 気を取り直そうと、勢いよく申し出てみた。

 「おおお茶いれてきますーっ!」







 そして彼女はキッチンへと、いそいそと駆けてゆきました。

 後をついて花子がお部屋へ向かったことに、ナナは気づいておりません。



 「………………、」
 薔は片手で口元を覆い、彼女の真っ赤さに笑いを堪えております。













 キュン…

 顔は綻ぶが、食器棚に収まったお揃いのマグカップを眺めながらナナはとりあえず悩もうとしてみた。

 (う〜ん、お茶はどれにしよう?)

 と。




 すると、

 「ナナ、」

 すぐ後ろより、名前を呼ばれまして。

 「は、はいっ、」
 ドキッとしたナナはあたふたと、振り返った。






 カシャッ

 その瞬間、写真を撮られたのである。







 ナナは、唖然。

 「可愛く撮れたぞ、」
 薔は笑っている。


 「ちょっ、ちょっと、あの、見てもいいですか?」
 「いいに決まってんだろ?」
 ナナは彼の携帯電話を受け取り、画面を覗き込んでから、

 「えええええ!?そうですかね――――――っ!?」

 恥ずかしさに真っ赤となって。





 「いやでもこれ、写真自体はとってもキレイですね!」
 と、iPhoneの画質に感嘆の声を上げながらゆびで示すと、どうやらスライドされてしまったようで、

 「あれ?これもわたしですね、」

 ナナは目をぱちくりさせた。




 「おまえと花子とたまに俺ばっかだ。」
 「薔の割合が一番少ないんですかーっ!?もったいない!それより、いつの間にーっ!?」
 堂々と明かされ、彼女は驚きと恥ずかしさと嬉しさのあまり、

 「なんだかずるいんですけどーっ!」

 薔の服をちょっとだけ、引っ張ろうとしたのだ。




 ところが、

 グイッ――――…

 その手は掴まれ、ナナのほうが強引に引き寄せられてしまい。




 携帯は傍らへと置かれて、

 ふにっ…

 テーブルに寄りかかる薔は、抱きしめた彼女の耳たぶをやさしく摘まんで笑いました。

 「ここまで、真っ赤だな、」

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