※※第135話:Make Love(&Lips).73






 「何か一言多くねぇか?」
 「だってぇ…っ、」

 薔はクスッと笑い、ナナは恥ずかしさのあまりまた泣きそうになって。


 ちゅっ…

 「ん…ぁっ、」

 今度は、涙が残るほっぺたに、やさしいくちづけ。






 そして、

 「俺のも聞くだろ?」
 「……っ、ん…っ、」

 それはそれは甘く、彼は囁いたんです。

 「おまえは愛しい俺のすべてだよ…」










 「も…っ、なんかっ、ずるいぃ…っ、」

 とか言いながら、堪えがたい喜びに涙は溢れ、心臓のあたりが激しく切なく、きゅうっと甘く痛んだ。



 「そうやってまた、可愛く泣いて俺を狂わせるんだけどな…」

 ちゅ…

 「や…ぁっ、もっ、」

 薔もどこかしら切なげに、囁きとくちづけをつづけると、

 「なぁ、」

 プッ…

 くちびるを親指で弾き、確かめてきた。

 「ここに、とろけるほど甘ぇキス…してもいいか?」








 「あ……」

 何度だろうと、ドキドキ、彼に堕ちて、溺れ。

 視線は視線へと落とされる、逸らしたいほどの激情のなか、

 逸らすことは赦されず。








 「は…っ、あ……」

 はやく応えたいのに、すでにまるで骨抜き。


 「今から蕩けんなよ、」

 フッと笑った薔は、そっと彼女の顎を持ち上げくちびるを重ねた。

 チュ――――…












 「ん……」

 やわらかく、くちびるとくちびるが触れあって、甘い匂いに全てはやられそうでナナはうっとりと声を漏らす。


 「はぁ…」

 まだ絡ませない、舌の代わりに、熱く吐息と視線を絡ませたりして。




 そして、

 「そのまま、俺に合わせて息して…」
 「は…っ、……はぁっ、」

 だんだんと荒々しくなる呼吸を、交えるかのよう、ふたり、共に感じていった。






 「は……っ、はぁ…っ、」

 くちびるを微かに開いて、重ねてゆけば、湿った吐息が艶かしく部屋へと響く。



 くちゅ…

 濡れた舌先が、とうとう、触れあいだして。

 「は…っ、あ…ふっ、」
 ふるえるナナの腰は否応なしに砕け、支えるようにしてつよく抱き寄せられる。





 ぬっ……くぷっ…

 絡まってゆく、舌が。

 音を立てて絡め取られる。




 「はふ…っ、ん、は…っ、」

 気持ちよさに涙を流すナナは、

 ぎゅっ…

 無我夢中で薔へとしがみついていた。

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