※※第132話:Make Love(&Apical).70
(“お”、か…)
真剣に悩んでいた醐留権は、職員室にて眼鏡を外してみた。
(これも言ってみれば、お眼鏡になるのであって…)
「おぎゃあ!醐留権先生ってやっぱ、眼鏡外してもかっこいいよぉ!」
「黙っててください、ヨコシマ先生。」
「えええ!?」
……いま、悩んでるから。
青ざめた横科は、ぶるぶると震えており、
(さっぱりわからないのだが…)
若干憂いを含む醐留権は、眼鏡を装着した。
「どっちもかっこいいよもう!」
「黙っててください、ヨコシマ先生。」
「はい…」
…とうとう、ヨコシマについてはツッコまなくなったのか?
……さぁて、ますます悩む結果とはなりましたけれど、
“ガチでゲイのお友達”(←再び)より恥ずかしいと言う、
最初に“お”のつくものって、いったい何なんだろう!?
――――――――…
お【尾】ヲ
動物体の後端に突き出たものの総称。しっぽ。
や、
お【魚】ヲ
「いお」「うお」の略。複合語にのみ見える。
などなど。
(うう〜ん…、しっぽ?しっぽ…、猫ちゃんのかな?)
引く頻度は少ないが愛用の辞書を眺め、ナナはうんうんと唸っておった。
(もしかしてお魚かな!?)
……ちがうだろ。
お、だけでも、けっこういっぱいありまして、
お【雄・牡・男】ヲ
動物で精巣を有するもの。おす。おん。植物では雄蕊おしべだけを有するもの。
人間の男性。おとこ。
こんなのもあった。
(まさか醐留権先生かな――――――――――っ!?)
あーっ、ぁーっ…(※閃きのエコー)
(あっ!でも醐留権先生はもう、こけしちゃんのものだっ)
「おい、ナナ、」
…………ぎゃあああ!
唸っていたナナさんは、隣より堂々とした声を掛けられた。
「なななななんでございましょう!?」
「俺にも構えよ。」
勢いよく見た薔は、ちょっとふてくされておる。
……えええっ!?かわいい!
「構います構います!一緒に薔の大好きな辞書を見ましょう!」
「俺が大好きなのは、おまえだ。」
「きゃあああ…!」
と言いますことで、ふたりはイチャつき始めた。
「あっはっは!いつも仲良しだな!いま現国の授業中だけど!」
高らかに笑う、吉川先生。
…担任による授業中だったか!
なら、セーフか。
[ 98/540 ][前へ] [次へ]
[ページを選ぶ]
[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]
戻る