※※第132話:Make Love(&Apical).70
「えぇぇ?一番に欲しいもののヒントぉぉ?」
朝からニコニコとこけしちゃんは、面食らっていた。
「うん!教えてよ、こけしちゃん!」
羚亜からその情報を仕入れたナナは、輝く瞳でストレートに食いつきます。
「ヒントもぉぉ、恥ずかしいのしか浮かばないんだけどぉぉ、」
はにかむこけしちゃん。
「じゃあ、最初の一文字か、二文字目か、最後の一文字か真ん中の一文字でいいよ!」
テンション高いナナは、それ最初の一文字だけにしとけば良かったんじゃあな内容をつづける。
そして、
(ここは是非とも、最初の一文字きてくれたまえ!)
運が良すぎることにたまたま通りかかった醐留権は、前方のドア付近でコソコソと耳をそばだてていた。
「えぇぇとぉ、じゃあぁ、最初の一文字はねぇぇ、」
「うんうん!」
そんでもってこけしちゃんは、彼氏のこころの要求に応じその一文字を教えてくれる様子で、
「“お”なんだぁぁ。」
と、にっこり恥じらいながら明かしたのだった。
「お…?」
(“お”だと?)
目の前のナナはキョトンとし、盗み聞きをしていた醐留権は眼鏡をくいっとさせる。
「お…?お〜?」
「エヘヘぇぇ、ナナちゃぁんはぁ、わかるかなぁぁ?」
「辞書引けばわかるかな!?」
教室にて乙女たちは、こんな感じ。
(後で暮中にも礼を言っておかなければならないが、“ガチでゲイのお友達”より恥ずかしいと言う、“お”とは一体…)
醐留権はまたしても、真剣な表情で悩み始めた。
(…桜葉、“お”とはだいたいの物に付けようと思えば付けられるのだが…、そういうニュアンスなのか?……まさか!)
そんでもって、閃いた。
………………おちん…
(…いや、それはないだろう!)
自分に都合よく解釈するところだった醐留権は、首を横に振る。
(どうしたんだろう?醐留権先生…)
なにげに、生徒たちの何人かには見られておる。
(桜葉の“お”と言えば、あれだろうか?やはり、“男と男の何とやら”なのだろうか…)
呼吸をいったん、整えますと、
(私にそれをどうしろと?)
とか悩みながら、醐留権は職員室へと向かって行ったんだとさ。
……ゾーラ先生よ、
“男と男の何とやら”だったら、
彼女の親友の彼氏と一緒に醸し出せばいいよ!
“男と男の何とやら”だったら、ね。
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