※※第95話:Make Love(&Medicine).41
…――Only you cure my hurt.
『共有しよう、生と血を、
狂おしいほど愛してる。』
花嫁に逃げられた醐留権兄は、落胆の色を浮かべていた。
「まるでトレンディー男優になった気分…」
「兄さん、それを言うなら俳優です。」
的確な指摘をしてきた弟のまえ、
……しゅん
と椅子に腰かけた白いタキシード姿の兄は、うなだれている。
醐留権は、
「はぁ……」
小さく一つ、溜め息をつくと、
そっ…
と兄の肩に右手を置き、慰めるよう、言ったのでした。
「兄さん、あまり悩むとまた禿げますよ?まだ33なんですから、若禿げの兄さんを受け入れてくれる素敵な女性も、この先きっと見つかりますよ。」
と。
……お兄さん、意外と若かったんだ(弟25歳だよ)。
ひょっとしたら、案外ストレスに弱いのかな?
「かっ、要っ…!」
潤みまくった瞳で、顔を上げた奏は、
「ありがとう!お兄ちゃんがんばるーっ!」
ひしと弟に抱きついた。
「兄さん、だいぶ鬱陶しいです、」
「要はいい子だなーっ!」
ちょい引いている弟の頭を、よじ登るかのように抱きついた兄はよしよししている。
この光景を見ながら、こけしちゃんは、ちょっとだけ、
(有りかもぉぉ。)
そう思っていた。
「羚亜くん、醐留権先生ってほんと、優しいね!」
「えっ、う、うん…」
感動中の愛羅の隣、羚亜は(そうかな?)と思っておる。
そこへ、
「あら、間に合ったと思ったら、悠香ちゃんじゃないの!」
仕事の都合で遅れざるを得なかった母・洋子が、シックなドレス姿でやってまいりました。
「ご無沙汰しておりますぅぅ。」
「可愛いわよ!」
ぺこりとあたまを下げたこけしちゃんに、萌える要ズ母。
「洋子ちゃん、待って〜。」
同じくな父・必汰も、一足遅れてやってきた。
そして洋子は、
「奏、何をやっているの?」
弟に抱きついている息子へと、ちょい呆れた声を掛けた。
「ママぁ、」
泣き出す、奏。
このとき、抱きつかれている要を除いて、醐留権御一行様は悟ったのでした。
……マザコンかよ!
ってね。
こけしちゃんの場合のみ、それ相応に変換してください!
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