※※第94話:Make Love(&Intercrural sex).40







 ハリーとは無事に別れ、ナナが薔とバイト先に向かった頃。


 ズ――――――ン…

 職員室の机にて、何だかうなだれている人物がおったんです。



 「ど、どうなされたんだ?醐留権先生は、」
 教頭はとりあえず、目を疑っている。




 「さ、桜葉…」
 誰にも聞こえないような声で、醐留権は彼女の名を呟いた。

 彼が見下ろす先には、スマートなフォンのとある衝撃画面が。





 “ゾーラ先生、何も説明してくれないなら土曜日はキャンセルします。”


 これね、デコメも絵文字も顔文字もね、使ってないんだよね!














 ――――――――…

 「いらっしゃいませ〜!」

 上のセリフは、ナナかと思いきやそうではありません。
 どうやら元チーフは、ようやく“いらっしゃいませ”と言えるようになったようでして。



 (あああ、何か、美味しそうなお菓子発見……)
 商品棚の掃除をしているナナは、新発売のお菓子にしばし心を奪われていた。

 (期間限定って書いてあるよ、期間は書いてないけど…、お母さんに教えてあげようか)
 「おい、何やってんだよ、」

 ……ぎぇぇえ!



 お菓子に奪われていた心は、瞬時に奪い返されました。




 「いきなり耳元では、やめてくださいよぉ!何だかすごく、気持ちいいんで!」
 「おまえはほんと、バカ正直にもほどがあんな、」

 およそ二時間ほど経ちましたので、薔はナナの様子を見に来た模様でございます。
 ただ単に、会いたかっただけだとは思いますが。





 このとき、元チーフはレジの下へと、やっぱり雲隠れしちゃってました。

 和やかすぎる、コンビニエンスストアだな!

















 ――――――――…

 ピンポーン

 時刻は20時を、回っております。

 鳴らされたのは、こけしちゃん宅のチャイムでございます。




 「はーい!」
 姉に頼まれた司は、元気よくドアを開けた。


 「こ、こんばんは、司くん、」

 そこには、包装された何だか大きな箱を抱えた、醐留権が立っておりました。





 「あーっ、昨日姉ちゃんが、腹立ててたひとだあ!」
 「なに!?」
 ちゃっかり姉の心情を察知していた司は、

 「ふーんだ、こっから先には入れてやんないもんねーっ!」

 と、醐留権にあっかんべえをしてきた。




 「司くん、君にお土産を、持ってきたんだが、」
 「今時の小学一年生を、物で釣れるとでも思ってるのお?とっとと帰れーっ!」
 どうやら大きな箱は司への手土産だったようですが、憤慨している司はドアを閉めようとした。




 そのとき、

 「それもそうだ、」

 俯きがちに、醐留権はぽつりと(でも聞こえるように)言ったのでした。

 「マスクァレイジャーの変身セットなど、今時の小学一年生は、もらってもちっとも嬉しくはないだろう。」











 キィ――…

 ドアを開け放し、司は返しました。


 「ゾーラ兄ちゃん…!」

[ 61/538 ]

[前へ] [次へ]

[ページを選ぶ]

[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]


戻る