※※第92話:Make Love(&Drop).38






 「薔のせいだなんて、わたし、一言も言ってませんけど…」
 ナナは、ちょいとばかり、ふくれる。


 「ん…、そうだな、ごめんな?」
 薔はその、ふくれたほっぺたを両手で挟み込むと、

 「腹減ってるよな、飯にすっか、」

 とても穏やかな微笑みで、投げ掛けたのでした。






 ……えええええ!?

 なんですか!?
 この、ものすごくお優しい雰囲気は!
 熱を出したおかげでしたら、わたし今後も熱を出してみたいものですよ!?



 ナナは色んな意味で、いつ気絶してもおかしくはなかった。















 ――――――――…

 花子も一緒にご飯を済ませ、後片付けは薔が済ませ、ふたりしてのお風呂はナナが気が気でなかったため、別々に入ることとなりました。
 バイトに一生懸命励んだこともあって、ナナはどうしてもお風呂には入りたかったのです。





 (なんか、熱があるのって、ヘンな感じだよ…)

 先にベッドへ入ったナナさんは、久しぶり過ぎる微熱の到来に、何だか戸惑ってもいた。

 (熱い……)

 とか、非常にぽーっとしておりますと、

 バタン――――――…

 ドアの閉まる音で、ドキッとして我に返った。







 ギシ…

 薔はベッドへ乗ると、ナナがまだ起きていたことに気づき、額には冷えピタが貼られているのでそっと頬へと手を当ててきた。



 「まだ熱いな、大丈夫か?」
 その問いかけが、またやさしくて。


 「あのぅ…、」
 「ん?」

 ナナはもじもじと、おねだりをしてしまったのです。

 「薔が、治してください…」

 ってね。





 「安静にしてねぇとダメだろ。」
 「それじゃ治らないです…」

 もはやナナの瞳は、今にも泣き出しそうなほどに潤んでおり、

 「ふーん、」

 妖しい笑みで見下ろし、頬を撫で薔は確かめた。

 「要するにおまえは、俺に何がされてぇんだ?」






 「えっと、あの……」
 ナナは恥じらいながら、口ごもったのだけど。


 「わたし、」

 ふるえるくちびるをおもむろに開き、なんだかんだですごいことを尋ねちゃったのでした。

 「薔とエッチするのが、こんなに好きになっちゃって、どうしたらいいんでしょう?」

 と。






 「俺もおまえをどこまで、好きになればいいのかがわかんねぇんだよ、」
 そうっと鼻にくちづけて、薔は力強く返した。

 「だから、止まんねぇなら、どこまでも好きになるしかねーだろ。」

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