※※第92話:Make Love(&Drop).38






 「今日は、星とか出ておりませんね。」
 「明日は天気、悪りぃかもしんねぇな、」

 ナナと薔は手を繋いで、夜道を歩いておりました。


 「えっ!?そうなんですか!?」
 驚いたナナが、隣へ向くと、


 こつん

 不意に、おでこへおでこをくっつけられた。





 (ぎゃあ――――――――っ!)

 暗いなかでもわかるほどに、ナナは真っ赤っかになって。


 (まさか、またちゅうですかぁ――――――――っ!?)

 そちらに期待もしちゃったのだけど、


 「なぁ、」

 おでこをくっつけたまんま、薔は言いました。

 「おまえ、熱あんじゃねぇか?」










 「ええ!?でもわたし、ヴァンパイアなんですけど!」
 「それ以前に、俺の女だろーが。」
 「それはそうでございますけど、…って、近いですってーっ!おカオ!」

 こんな風に、ナナだけがわたわたしておりますと、

 ふわっ…

 なんと、薔は、ジャケットを脱いで彼女に羽織らせたのである。




 「何をなさってるんですか!?」
 「熱あったら困るだろ?」

 ……えええ!?

 「わたしは出さないですけど、薔が出しちゃったら困るんですけど!」
 「おい、あんまでけぇ声で、出すとか言うんじゃねぇよ、」
 「ぇぇぇぇえええ!?」


 …いいから早く帰って、熱計ってみてよ!














 ――――――――…

 「37.3度…」

 体温計で熱を計ってみたナナは、まず目を疑った。

 「ほら見ろ、あったじゃねーか、」
 薔は、花子が差し出していた冷えピタを、彼女の額に貼り付けました。



 「ぇえ?なぜにわたくしめは、ヴァンパイアなのに熱を出したんでしょう?」
 「俺の女だからだ、つったろ?」

 …………あああ!




 「それですよ!」
 思い出したナナは勢いよく隣を見ると、声を張り上げたのです。

 「わたし、おかしいくらいに薔のことばっか考えてたんで、とうとう熱出しちゃったんですよ!」

 ってね。




 「おい、俺に飛ばすんじゃねぇよ、」
 「あっ、すみません、」
 勢い余って、ナナは冷えピタをいったん彼のほうへふっ飛ばしてしまいまして。





 ぴと

 再びそれを、ナナのおでこに貼り付けると、

 クスッ

 と笑って、薔は言った。

 「そっか…、おまえは俺のせいで、熱出しちまったのか、」

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