※※第92話:Make Love(&Drop).38






 「店長!お店のお掃除は、わたしがやります!」

 顔はやたらと赤いですが、店内の清掃を進んで買って出た、ナナ。


 「いいの?」
 「お任せください!」

 大感激の、店長さん。




 そして再びナナが、いそいそと奥へ入って行った後、

 「人がやりたがらないことを、進んでやる子って、偉いわ〜!」

 感心ひとしきりの店長さんは、うんうんと頷いたのでした。











 ジャア――…

 モップ用バケツに水を汲みながら、

 (いやもう、あのひとは、いきなりキスをしてくるのが果てしなく上手いよ!あ、いきなりじゃなくても果てしなく上手かった!おかげさまで今もう、何か、ヘンな気分だよ!?)

 ナナはなんだかんだで、ムラムラしちゃっておりました。



 そっ…

 とくちびるに、ゆびを当ててみます。



 (あああ、まだ、感触が……)

 …………ポッ。




 …て、いか――――ん!!




 (こうなったら、全力でお掃除して、精神統一だよ!)

 うっしゃ!



 意気込み、真っ赤で店内の清掃をきびきびと始めた、ナナ。



 「ナナちゃん見てると、やる気が更に出てきたね!」
 魂に何らかの火がついたようで、店長さんも発注やなんかに取り掛かったんだとさ。













 ――――――――…

 「お疲れさまでした!」
 ヒロインの本日のアルバイトは、これにて終了な時刻でございます。


 「お疲れさま!ナナちゃん、帰ったらちゃんと熱計ってみないとダメよ!?」
 「あ、はいっ、」

 そもそもヴァンパイアだから風邪ひかないんだけど、店長さんがあまりにも心配しているため、ナナは元気よく返事をしてみせたのでした。




 入れ替わりに一人ヤンチャ青年が入り、薔が迎えに来るとナナは何だかもじもじと帰って行った。








 「何か、すげえカップルっすね〜!」
 「でしょう?」


 なぜだか店長さんが、得意げであります!

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