※※第121話:Make Love(in Splash).62







 本日はバイトもないため、ふたり一緒に帰宅でございます。


 「ワンッ!」
 いきなり玄関では、花子がお座りしてお出迎え。

 「どーした?花子、」
 「花子ちゃん、いい子すぎるよ!」
 薔は悟ったようですが、ナナが大感心しておると、

 ぐいぐい

 なぜかソワソワしている花子は、一所懸命にナナのスカートを引っ張ってきたのだ。

 「えっ?なになに、」
 引っ張られるままにして、ナナはリビングへ向かった。













 『ピノ太く――――――ん!』

 リビング入りしてすぐに、この声だった。


 (ザザえもん!?)
 くりんとナナは、テレビを見る。

 『ザザえもん、僕いま参考書読んでるから、静かにしててくれないかな?』
 『あっ、ごめんね、静かにします…!』
 テレビでは、明らかにテレビを観ているピノ太くんと、かまってほしいザザえもんが、リビングでまったりしておる。



 「なぜにこんな時間にーっ!?」
 「ワン(※ナナちゃん、これね、再放送)!」
 ナナはソファに座って、花子とザザえもんを観ようとした。

 まさにそのとき、

 バタン――――――…

 リビングのドアが、閉まる音が。




 ………………はっ!

 すぐさまナナと花子が、そちらを見ますと、

 「………………、」

 半ば見下ろし、薔は何も言わずにふてくされておった。




 かわいい――――――――っ!!
 ワオ――――――――ン!!

 お約束か、萌えまくる乙女たち。



 「…あー、俺邪魔みてぇだな、」
 「ちょっ、ちょっと!どこ行くんですか!?薔も一緒に観ましょうよ!」
 「ワンッ!」

 必死で引き止めに入ったナナは、どさくさに紛れ、彼に抱きついていた。










 ――――――…

 「すみません…、ものすごく強く抱きついちゃいました…、しあわせすぎました…、どさくさに紛れてもーう…」
 ソファにて、耳まで真っ赤のナナさんは、穴があったら入りたい衝動に駆られていた。

 「おまえの得意分野だろ、」
 隣では、未だふてくされ気味の薔がソファにふんぞり返っている。

 「え?抱きつくのがですか?どさくさに紛れるのがですか?」
 「どっちもだ。」
 「えええ!?」





 “ふぅ、落ち着く。”
 花子はゆったりと、尻尾を振って寄り添う。



 なんだかんだでみんなして、リビングでザザえもんを観ております。

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