※※第121話:Make Love(in Splash).62
放課後です!
「ナナ、帰るぞ、」
何やら念入りにチェックをしている彼女の手を、薔が半ば強引に取った。
「ちょっ、ちょっと待ってください、わたし忘れ物がないか見てますん」
「おまえは桜葉とのノートだけ持ち帰りゃ、いいんじゃねーのか?」
…………ぎゃほう!
「それは内密にお願いしますよーっ!?」
「あ?」
…いや、ナナさん、最も内密にすべき相手に、それ言っても……
結局、こけしちゃんのノートをメインに携えたナナと、交換日記だと思っているため特に何も指摘しなかった薔は、仲むつまじく手を繋いで帰って行ったんだとさ。
「ねぇ、愛羅さん、卓球ってどうやるの?」
「教えてあげてもいいよっ?ベッドでもちろん優しくねっ、」
「何でベッドで!?」
羚亜と愛羅はおしゃべりしながら、お菓子を食べたりしておった。
……もしや、他のに見立てるつもりか?
ラブラブの帰路に就いたナナと薔を、グラウンドで部活中の黒熊くんが発見した。
「おおおっ!まるで映画のワンシーンのようでありま」
「ゴルァァア!ベェェェンン!」
黒熊くんのいつにもなくロマンチックな呟きは、千国先生の巻き舌によってカットされました。
「お前さんは球技大会、野球に出るんだるぉぉお!?もっと真剣にやるぇぇえ、ドゥルァァア!」
「はひーっ!これでも真剣にやってます!」
と言いつつ、ベンジャミンは目を覆いたくなるほどの女の子走りである。
そのとき、千国先生は、
「おっ、暮中、」
「えっ!?どこどこ!?」
鎌をかけてみた。
(ベン先輩、気持ち悪いほどに単純ッス!)
野球部の皆さんは、もういっそ見て見ぬ振りをしたい。
そんななか、
「ベェェェンンン…!」
怒髪冠を衝く勢いの、千国先生は声を張り上げました。
「もうお前さんはぁぁあ、地区のマラソンコース走ってこぉおい!オルァァァア!」
「ひえーっ!それ僕、知りません!」
なかなかいいコンビだ。
「わたくしも球技大会、野球に出場するため張り切らせていただきます!」
なにげに黒熊くんも、あんな風に指導されたいなとか思ってみたりした。
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