※※第120話:Make Love(&Jealousy).61






 「え……?」
 先に謝られてしまい、ナナはドキリとする。


 「おまえが喜んでんならそれでいいはずなのに、放っとかれると、妬けるし、」
 薔はばつが悪そうに、濡れた髪を片手でかき上げると、

 「当たらなきゃ良かったって、ちょっと、思っちまった…」

 そのまま背もたれに、肘を突いた。

 「あー、ほんとみっともな、最低だよな、俺は…」











 ちゅっ…

 思わずそのくちびるに、ナナはキスを落として。

 ブンブンと首を、横に振ると、

 「そんなことないです、わたしすごく、しあわせですっ…!」

 力説してから、次にもじもじと、確かめてみた。

 「だって…、薔ってものすんごく、わたしのこと大事にしてくださってるというか…、す、好き…ですよね…?」








 「うん…」
 そっと応えた薔は、ナナの頬からくちびるへと触れる。

 「今頃気づいたのか?」
 「そんなことないです…、改めて、というやつですよ……」
 見るなと言われると見ていたいのに、いざ見つめられると恥ずかしくて目を逸らしたい。
 なんでなのかな?




 プッ…

 親指がそうっと、くちびるを弾いて、

 「やわらけぇよな、おまえの唇…」

 残りのゆびさきでは頬を撫でながら、薔は甘く囁いたのだった。

 「肌も、吸いつくみてぇだし…」







 「は……」

 触れられただけで、全身は瞬時に熱くなって、ナナは息を乱す。

 「なぁ、ナナ、」
 薔はちょっと首を傾げるようにして、彼女を見つめると、

 「もっと、キス…、する気はねぇのか?」

 問いかけで、誘った。




 「あります……」
 素直に応えて、ナナは近づく。

 ギッ…

 ソファは僅かに、軋む音を立てた。














 火照る躰。
 やさしく包み込む心地よい匂いは、甘い棘のようだ。


 ちゅっ…

 「ん……」

 どちらからともなく甘ったるい声は漏れて、吐息と共にくちびるを触れあわせる。

 「はぁ……」
 そしてゆっくりと、くちを開いて、

 ちゅく…

 舌を絡めていきました。





 「……っん、ん…っ、」
 夢中になるキスは濃厚で、力すら奪われてゆくナナは薔に身を預ける。

 ぎゅっ

 砕けること必至の腰は、つよく抱かれ、

 くちゅっ…ちゅぷ…っ…

 「ぁ…っ、ん……」

 何度も絡まる舌が、吐息が声が、いやらしく聞かせて聴覚をも刺激する。



 「は……ぁっ、」
 おもむろにくちびるを離すと、唾液でしばし、繋がって。

 「あ…の、」
 「ん?」
 髪を撫でられながらぽーっとするナナは、吐息混じりにこんなことを言っていた。

 「お髪…、濡れてるんで…、風邪引いたら、大変…」






 「心配すんな、」
 薔はもう一度、そっとキスを落とすと、

 「セックスすれば髪なんいつも、汗で濡れるだろ?」

 ちょっと妖しく、微笑んだ。

[ 434/538 ]

[前へ] [次へ]

[ページを選ぶ]

[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]


戻る