※※第120話:Make Love(&Jealousy).61







 ズ――――――ン…

 「うぅぅ…、結局、一緒にお風呂入ってくださらなかったよ…」

 リビングのソファにて、湯上がりたまごはだとやらのナナはうなだれていたが、こけしちゃんから借りた雑誌を読んで気を取り直そうとした。

 やはりなんだかんだで、一緒にお風呂は入りたいようだ。


 「えーと、わたし、何しようとしてたんだっけ…?」
 雑誌を読もうとしてたんだけど、考えていることが考えていることなため、はてなマークを浮かべたナナさんは、

 「だいたい、あのひと男だからなぁ、女のわたしには、難しいよこりゃ…」

 と、ひとりごちた。




 ……う〜ん…、いちばんよくわかるのに、いちばんよくわからない……





 「こけしちゃんはいつも、男のひとばっかりで小説書くからなぁ…、ちょっと今度いろいろ、教えてもらおうかな……」
 決して男同士のあれやこれやという意味ではなく、うんうんと唸っていたナナは、ふと、

 “私が出会った最低な男談”

 というちっちゃい見出しを、雑誌の下方に発見した。




 ………………んんん?


 普通のファッション雑誌だったんだけど、気になったナナはまず、そのページから見てみることにしました。












 ――――――…

 「ひ、ひどすぎる……」

 ナナは息を呑む。



 そこにはけっこう、色々あった。


 ・二股、むしろ二桁の股は当たり前
 ・浮気は当たり前というかアイデンティティー
 ・金をせびる、もしくは女を財布だとしか思っていない
 ・自称オレ様という名の自分勝手
 ・付き合っているのに無関心、ほとんど会わない連絡も取らない
 ・じつは偽名

 などなど。








 「え?世の中にはこんな奴も、いるの?本当に?」

 目をぱちくりさせるナナは、そもそも年齢が年齢にして薔が初めての彼氏なので、ね。





 ぱたん…

 いったん雑誌を閉じたナナは、傍らできゅぴーんとしていた花子を見た。

 「は、花子ちゃん…」
 この呼びかけに、花子は尻尾をブンと振って応える。



 そんでもって、湯上がりのせいでなく頬を赤らめるナナは、

 「あなたのご主人さまは、最高…ですね……」

 花子に向かって、ちいさく告げたのでした。



 “わかればよろしい♪”

 花子はトロンとした目つきで、尻尾をフリフリと振りながら自分の部屋へと向かっていった。

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