※※第92話:Make Love(&Drop).38






 はい、本日の授業は、めでたく終了いたしました。

 放課後です!




 「そこのJK、職員室はどちらか聞かせてくれたまえ!」

 校門の前にて、一人の男性が女子生徒らに野太い声を掛けまくっていた。
 男は立派なスーツ姿で顔立ちもなかなか端正ではあるけれど、若干どころかかなり、背が低かった。


 「………………。」
 残念なことに物騒な世の中ですので、女子生徒らは怪訝そうに無言で去ってゆきます。






 そんななか、

 「あああ、うっかりしてました、今日はバイトでしたよ!」
 「俺はちゃんと覚えてたぞ?」
 「えええ!?それはありがとうございます!」

 とあるカップルが、ふたりっきりの世界において校門へと差し掛かったのである。




 「そこのすんごいイケメンんんん!」

 男性はここでようやく、男子生徒にも声を掛けてみた。

 「職員室の場所を、教えてはくれんかね!?」

 とね。






 (おおおっ…!?)
 目をぱちくりさせ、彼女のほうだけがそちらを見た。

 「むぅ、ちっとも振り向かないな。すんごいじゃ足りんかったのか?今の若者言葉で言わないと、高校生にはやはり通じないのか?」
 男性は何か、ブツブツ言っております。



 そして男は咄嗟に、

 「あっ!君!君でいいよ!何か優しそうだし!職員室の場所を教えてくれたまえ!」

 彼女のほうへと駆け寄っていた。


 (ひぇえ!こっちに来たよ!)
 ナナはとりあえず、見なかったことにしたくなった。


 まさにそのとき、

 がしっ

 男の頭を掴んだかと思いきや、

 ひょいっ

 そのカツラを奪い上げ、険しい表情で薔は言いました。

 「それ以上こいつに近づいてみろ?遥か彼方へ放るぞ、」








 「それ困る――――――っ!」
 「近づくんじゃねえ、つってんだろ?」



 くすぐったさや何かから、ナナは真っ赤でぶるぶるとふるえております。




 すると、

 がしっ!

 ツルツルになってしまった男の頭を、今度は誰かが思いっきり掴んだのだ。






 「学校には来ないで下さいと、言いましたよね?」
 これまたものすごく険しい表情で、醐留権は言いました。

 「できれば日本にも、来ないでいただきたかったんですがね、奏兄さん。」






 ……お兄さんだったんか〜い!

[ 33/538 ]

[前へ] [次へ]

[ページを選ぶ]

[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]


戻る