※※第119話:Make Love(&Make Love!).4







 ひどく、近づいて。


 隣にゆっくり座ったとたん、

 ぎゅっ…

 ナナは抱きしめられた。





 ぬくもりといい匂いに、目眩すら覚えて、

 「あ、あの…、」
 「ん?」

 しなやかでつよい腕のなか、ナナは小さく返しました。

 「わたしも…、愛して…ます…」

 と。





 「抱きしめるだけで伝わってきたが、ちゃんと言葉にしたか…」
 薔は耳もとでそっと囁き、彼女のあたまを撫でると、

 「俺も、愛してるよ……」

 ちゅ…

 火照る耳にキスをした。




 「あ…っ、」
 思わず声は零れ、ナナのからだはびくんとふるえる。



 そして、

 「なぁ、ナナ、」
 「は…い…、」

 この時点でだいぶぽーっとしてしまった彼女の、頬を両手で挟み込み、

 「たっぷり遊んでやるって、言ったろ?」

 薔はちょっと妖しく、微笑みました。

 「だからおまえは、俺がこれから何をするのか、その都度読み取って言葉にしろ。」

















 ――――――――…

 「なるほど、そんなことがあったとは…」
 助手ちゃんの報告を受けた探偵ゾーラ先生は、眼鏡をくいっとさせた。
 ちなみにこけしちゃんは、彼氏に嘘はつきたくないため、団長くんに真実を話す許可を得ています。

 「私なんてほとんど、ゴールデンザザえもんバスタオルのことを聞き返されただけだというのに……」
 「えぇぇ?」
 突然彼の口から、零れ出たはゴールデンザザえもん。



 こんな風に、じつに緊迫した雰囲気のなか、

 「校庭の倉庫で隠れてBL漫画を読んでいたとは、なるほどだな…、しかし彼が特に怪しまれたのは、普段校庭ではほとんど活動をしない部活のためもある…」
 「そうぅなのぉぉ。」
 やけに真剣な表情で、教室にふたりっきりのこけしちゃんと醐留権は、

 「確かに、部室から校舎に入るより、わざと遠回りをして校庭から正面玄関へと入れば、最も怪しまれずに済むかもしれない……」
 「そうぅぅ、だから犯人はぁぁ、」

 声を揃えて口にした。

 「普段は校庭で部活動をしている人物かもしれないぞ!」
 「普段は校庭でぇ、部活動をしているヤツかもぉぉ。」




 最初は揃っていたが、言い終えるタイミングはちとずれた。



 「でもぉ、野球部で聞き込みをしていたときはぁ、変態ならいたけどぉ、怪しい素振りを見せたヤツが一人もいなかったのぉぉ。」
 「そうか…、野球部以外の者か、だが待てよ…、普段部室で活動をしている者が、部室から校舎へ抜けていくという、大胆な犯行に及んだ可能性もあるな…」
 「それにぃ、よくよく考えたら帰宅部の可能性もあるしぃぃ。」

 捜査はかなり、難航を極めているため、

 「…ふぅ、今日はだいぶ暗くなってきたからな、続きは明日にしよう。」

 一息ついた醐留権が、切り出しました。




 「はぁぁいぃ。」
 こけしちゃんはニコニコと、了解します。




 このまま帰るのかと、思いきや。

 ふっ…

 やわらかなほっぺに、ふと、ゆびさきが触れて、

 「悠香、」

 眼鏡を外しながら、醐留権は言った。

 「だいぶ背徳行為だが…、ここでしてもいいかい?」









 こくぅぅん…

 頷くしかなかった。


 だからこけしちゃんは、小さく頷いた。

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