※※第119話:Make Love(&Make Love!).4
「え、えーと、ですね…」
恥じらうナナと、ソファに半ばふんぞり返る薔は、見つめあう。
「ヒントを、ください……」
ナナは控えめに申し出て、
「探偵はそんなに甘くねぇが、俺はおまえにだけは甘ぇからな、ヒントぐれぇやるか、」
フッと笑った薔は、囁くよう口にした。
「俺がおまえに、真っ先に伝えてぇ言葉だよ…」
そのヒントだけで、5文字、浮かんで、ナナは瞬く間に真っ赤となる。
「ちゃんと読んだか、偉いぞ?」
薔は穏やかな眼差しを、彼女に送ると、
「おいで、今すぐおまえを抱きしめたい…」
やさしさで、引き寄せた。
従う以外に術はなく、ナナは彼へと歩み寄る。
この先を読み解いたのか、花子は尻尾を振りながらいったんお部屋へと向かったのでした。
――――――――…
「し、知ってるのか?」
息を呑む、団長くん。
「当然ぅぅ。だってあたしぃ、腐女子だもんぅぅ。」
こけしちゃんはにっこにこと、丁寧に一冊ずつ拾い上げながら、
「あぁぁ、喜名 コモチ(きな こもち)先生ぇだぁぁっ。」
ふと、キラキラァと手を止めた。
「コモチ先生ぇの作品はぁ、心理描写が切なくてぇ、タッチも繊細で独特だしぃ、ほんと素晴らしい世界観なのよねぇぇ。」
「わかる!しかも攻めが男前で、受けが淫乱なのよね!」
……………………。
「あ!これはえっと、その漫画をおれに預けた友人がそう言ってたんだよ!」
「へぇぇぇ。」
団長くんはできることなら、いっそ語らってしまいたい。
けれど硬派というイメージが、それを頑なに阻止するのだ。
それを知ってか知らずかの、こけしちゃんは、
「ならぁ、そのお友達さぁんにぃ、今度聞いてみてほしいなぁぁ、」
それはそれはにっこりと、言ったのでした。
「要×薔を描くとしたらぁ、コモチ先生ぇがいちばぁんじゃないぃぃ?ってぇぇ。」
よって、
ボタボタッ…
団長くんは、鼻血を出した。
「大丈夫ぅぅ?」
「う、受けっ!?まさかの受け!?めっっちゃ萌えた!」
荒げる鼻息と共に、鼻血を溢す応援団長。
「うそぉ、そっかぁ!受けかぁ!エロすぎる!ありがとう!遠くへ漕ぎ出せた気分!」
「……………………。」
学ランぽいのでゴシゴシと、鼻血を拭いた団長くんは、
「あの…、」
「なぁぁにぃ?」
こけしちゃんへと懇願したのです。
「このことは、皆には、内緒で……」
と。
「いいよぉぉ?」
こけしちゃんはキュートに、返しました。
「同志の頼みをぉ、無下にはできないからぁぁ。」
「ありがとうっ!」
大感激の団長くんは、持ち歩いていたポケットティッシュをいそいそと取り出し、ちぎって丸めて鼻に詰める。
そんでもって、
「あともうひとつ、いい!?」
「なぁぁにぃ?」
子犬のような瞳で、団長くんは申し出たのであった。
「おれと、腐友達になってください……」
……こけしちゃんはここで、思いがけず、
腐男子の友達をゲットした!
ようだ。
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