※※第115話:Make Love(ClimaxW).57







 「いいとこまで送り届けたが、渋滞していた道路を恨むよ。」

 帰りのベンツで、それでも醐留権は穏やかに笑っており。

 「大丈夫ぅ、愛は強しなのぉぉ。」
 隣でニコニコと、笑っているこけしちゃんは、

 「…つよしぃってぇぇ、攻めかなぁぁ?受けかなぁぁ?」
 「桜葉!?」

 ちょっとした妄想が、おっ始まりそうになった。



 「すぴー、」

 後部座席にて、はしゃぎ疲れた羚亜と愛羅は、寄り添うように眠っている。






 そんななか、

 〜♪〜♪

 妄想が始まることなく、こけしちゃんの携帯が着信を告げまして。


 「あぁぁ、ナナちゃぁんだぁぁ、」
 にっこにこと電話を繋いだこけしちゃんは、

 「はいぃぃ、…えぇぇ?」

 さらににっこにこと、面食らった。

 「黒くないお粥の作り方ぁぁ?」






 こけしちゃんにとってすれば、インフルのときは黒かったのかぁぁ、なんだけど、

 「あのねぇぇ、ナナちゃぁん、メモの用意はいいぃ?」

 おっとりと親友に、普通に白い粥の作り方を伝授してあげたのでした。





 運転席にて、醐留権は笑いを堪えていた。

 (どうやったら作れるんだろうか、黒い粥…)

 ってね。







 ……しかもそれには、別世界を垣間見れるという、

 素晴らしい効能が!














 「ありがとう!こけしちゃん!」
 ばっちりメモって、今度こそ白いお粥を作ろうとナナは意気込んでみせた。


 “ナナちゃん、白よ、白っ、”
 花子はお手本になるようにと、白いタオルを咥えながらもいささか心配そうに見守ります。





 グゥ…

 よくよく気づいてみると、ナナも腹ペコでしたので、

 「よーし!ふたりぶん作ろう!」

 ひとりぶんはあったかいご飯を炊けばいいものを、メモを見ながらふたりぶんのお粥をせっせと作り始めた。











 「まぁ、白に近かったら褒めてやるか、」

 熱冷まシートをおでこに貼って、ベッドにて薔は笑いながら呟いたんだとさ。

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