※※第115話:Make Love(ClimaxW).57






 バタン

 無事にみんなして、醐留権のベンツへと乗り込みました。



 「待っていたよ!」

 すぐに車は発進して、

 「あのっ、醐留権先生!」

 ナナは無我夢中で、明かします。

 「急いでもらっても大丈夫ですか!?わたし何だかすごく、嫌な予感がするんです!」







 「そうか、」

 醐留権は眼鏡越しに、車道を鋭く見据えると、

 「なら今夜は、法定速度を超過しても見逃してもらおうではないか、」

 見事な運転テクで、急加速をした。

 「ただしシートベルトは、しっかり締めてくれたまえ!」






 「ゾーラ先生ぇ、かっこいいぃ……」
 助手席のこけしちゃんは、否応なしにうっとり。


 「行けーっ!」
 声を張り上げる、羚亜と愛羅。










 ぜんぶひっくるめて、能力より頼もしいもの、

 それすなわち仲間!










 次々と通りすぎてゆく、ネオンすらも背にし、

 (待っててください、薔…!)

 ナナは祈るように、Sのネックレスをやさしく握りしめた。









 …――能力を封じ込めた理由と、

 能力を使わない理由が、

 まったく違っているということに、改めて気づかされて愛おしさは募る。


















 ベンツの姿が見えなくなるのを、見届けてから夕月は夜道を颯爽と歩きだした。

 「仲間ってもんは、いいもんだなぁ。楽しい時だけじゃなく、困難ですらもちゃあんと分かちあえる。」






 1月の夜は寒く、吐く息も白いのだけど、

 「さて、」

 少しだけ厳格な雰囲気を見せた夕月は、それでも笑って言った。

 「俺はこれから、お仕置きの時間といくか、」

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