※※第114話:Make Love(+Nightmare).56







 バタン――――…


 びくっ…

 男が帰ってきたため、ナナは急いでキーホルダーを服の中に隠した。






 「あれ?寒くねぇの?」
 屡薇は消えたヒーターに、目をやると、

 「まぁいっか、これから出かけるし、」

 笑って、ナナのコートを引っ張り出してきた。

 「着て。外寒ぃから、」







 グッ――――…

 ナナは拳を固め、

 「わたし、帰ります!」

 はっきりと、口にした。






 「へぇ、やっぱりそうきたか、」

 屡薇は笑うと、

 「もう遅いよ、とにかく支度して。」

 無理矢理、ナナにコートを羽織らせようとした。


 「やだっ!」

 ナナは、必死になって暴れた拍子に、

 ぽとっ…

 キーホルダーを、服の中から滑り落としてしまったのだ。




 …――――――しまった!


 と思ったが、時既に遅し。



 「なにこれ?なんでこんなん持ってんの?」

 それは屡薇に、取り上げられてしまった。





 「返して!」
 ナナは必死で手を伸ばすが、

 「返して、って言われてんのに、返すわけねぇじゃん。」

 屡薇は楽しげに、笑っていたかと思ったら、

 「あんまり俺の手を煩わせんなら、5分で犯るけどいい?」

 突然、ナナの顎を人差し指で持ち上げ、鋭い眼差しを向けてきたのである。







 絶望……


 涙を堪えると、ナナは大人しく男の後をついていった。

















 ――――――――…

 ギシッ…

 「悠香…」

 彼部屋に辿り着いたこけしちゃんと醐留権は、すでにベッドインしちゃってました。




 ちゅっ…ちゅくっ…

 「んぅ…っ、…う…ん…」

 熱く重なって、舌を絡めたキスを交わす。




 開かれて触れあうくちびるのあいだ、絡まる舌がなんとも艶かしくて、

 「……っはぁ…っ、」

 ゆっくり離してゆくと、唾液が細く煌めき糸を引いていった。





 「いきなりですまないが、…抱いてもいいかい?」
 またしてもちょっとの間、お預けを食らっていた醐留権はかなり限界寸前。

 「…っんぅ、いいのぉぉ…」
 こけしちゃんも同じくなようで、うっとりとして返しました。




 「それなら、少しずつ脱がしてゆくよ、」

 微笑んだ醐留権は、彼女の服へ手を掛けた。

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