※※第114話:Make Love(+Nightmare).56
トントン…
部屋の窓を、だれかが叩いた。
「……だれ?もしかして、昨日のひと?」
赤い目で、ナナは窓辺へ歩み寄る。
ガラ――――…
そして窓を開けたナナは、
「………………!!」
びっくり仰天して、腫れた目を見開いた。
そこには、尻尾をフリフリ、花子がお座りしていたのだ。
「はっ、は、は…っ、花子…ちゃ、」
ナナの目からは、また涙がボロボロと零れ落ちて、
撫でようと、伸ばした手のうえに、
ぽとんっ…
何かを落とされた。
「わわっ…!」
落ちないようにとしかと掴むと、それはふたりお揃いの花子のキーホルダーで、
「こっちの色のは…」
首輪の色で、これは彼のだということがナナにはすぐわかった。
「は、花子ちゃんっ…!」
涙で潤む瞳で、ナナが見つめると、
“ご主人さまには内緒で持ってきちゃったから、ナナちゃんの手で返してあげてね。”
尻尾を振る花子は、そう言っているようにこころは聞き取れた。
“じゃ、私はこれで、”
またすぐに会えるよと、花子はもときた道を歩きだす。
「花子ちゃん、ありがとうっ!」
その背中にナナが大声を掛けたため、花子は尻尾をブンと振って応えたのだった。
ピシャ――――…
ナナは窓を閉め、窓辺に座ると、瞳を閉じてキーホルダーに顔を寄せた。
「いい匂いがする…」
――――――――…
「えぇぇ?今日はゾーラ先生ぇのお家にぃ、お邪魔して大丈夫なのぉぉ?」
日曜日だし、これからデートのこけしちゃんは頬を赤らめた。
「もちろん、大丈夫さ。」
運転席の醐留権は、微笑んで返す。
……頼むよ、ゾーラ先生、
今回のエロティックは、
すべて先生にかかっているんだから!
あ、どちらかと言わずもがな、かけるほうか。
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