※※第111話:Make Love(&Love juice).53







 ぎゅうっ…

 しばらく歩くとナナが、抱きついて薔にすり寄ってきた。




 「…おまえ、まさか酔ったんじゃねぇだろな、」
 「酔ってませんよ〜、薔がとっっても大好きなだけです〜!」

 この時点で、酔っておる。






 「んああ…、薔はいい匂いですぅ…」
 「ったく、こんな可愛い姿、あんま俺以外に見せたくねぇんだよ、」

 しかし思いっきり、すり寄るナナ。



 「おい、どこ触ってんだ?」
 「触ってません…、抱きついてるだけです……」

 …………ほんとか?




 ……ナナさん、言うこと聞かなかったんだから、

 帰ったら覚悟しとき!


















 ――――――――…

 「実穂子サンのおせチ〜、めっちゃ美味いデース!」

 感涙にむせるハリーは、朝からちょいちょいおせちを頬張っていた。


 「ありがとうございます、たくさん食べてくださいな、」

 葛篭は嬉しそうに、クスクス笑っている。



 そしてふと、

 「それにしても…」

 頬を赤らめ、葛篭は言いました。

 「ハリーさんて、キスがとってもお上手でしたのね…」

 と。







 神ヨ!

 いったんおせちから手を離し、ハリーは真剣な表情で返しました。

 「実穂子さん、よかったら、他も試してみませんか?」






 …なんでそこで、そっちきた!?







 「ハリーさん…」
 「実穂子さん、あなたは美しい…」


 じつに甘いムードで、ハリーは葛篭先生を抱きしめる。


 その瞬間、

 「ゲォッホォ…ッ!」

 ハリーが突然、咳き込みはじめたのだ。




 「ハリーさん!?大丈夫ですか!?」
 すぐに葛篭が、彼を心配しますと…、


 「OH〜、すみません…、極度の緊張でこレが出てしまうと…、咳と鼻づまりガ……」

 これでもかと言うほどの鼻声で、咳き込むハリーは明かしてきました。





 「…………プッ、」

 とうとう葛篭は、腹を抱えて笑いだした。

 「あははははははは!」






 「すみマセン…、実穂子さン…」
 「いいんですよ!ここまできたんですもの、焦らずいきましょうね!」

 笑いながら葛篭は、ハリーに抱きついたのだった。






 ……他にどんな症状が出るのかが、いささか気になるところではある。

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