※※第111話:Make Love(&Love juice).53







 神社は、参拝客で混雑していた。

 屋台やなんかも出ており、無料で甘酒が振る舞われちゃったりしている。








 じーっ…

 ちょっと立ち止まり、ナナは甘酒を食い入るように見つめておった。






 「美味しそうです…」
 「甘酒で酔ったら表彰モンだが、ダメだ。行くぞ、」

 酒癖がいいのか悪いのかなナナですので、薔は強引に彼女の手を引いて歩き出します。




 「お願いしますよぉ、ちょっとだけ、」
 「おまえはほんと、白く濁ったやつ好きだな、」
 「ぎょあああ!」


 ……甘酒がなんか卑猥になっちゃうから、やめて!







 まぁ、それなら、帰って別のを飲めばいいというお話である。

 …………のか?















 参拝客が列をなしていたため、並んだ。
 カップルで来ている人々も多く、みなそれぞれにふたりっきりの世界である。


 「なんか、やり方があるんですか?」
 「今のうちによく見とけよ?」

 ナナと薔もいつも通り、ふたりっきりワールド全開だったのですが、


 「おや?暮中と三咲じゃないか、」

 よく知った声が、端から掛かりました。








 「こけしちゃ――――――ん!」
 「何でいんだ?」

 いやこんだけいるんだからいてもおかしくないよ、というなか、ナナは歓喜の雄叫びを上げ薔は不機嫌になる。


 「エヘヘぇ、ナナちゃぁん、明けましておめでとうぅぅ。今年もよろしくぅぅ。」
 「明けましておめでとうだよ、こけしちゃん!こちらこそ今年もよろしく!」

 キャッキャとはしゃぐ、乙女たち。





 「まさかここでも会えるとはね、やはり縁があるのだな、私たちは、」
 「あ?」

 それとなくこちら様は、やおいワールド全開。
 でもないか。




 「新年早々ぅ、いいもの見れたぁぁ…」
 「こけしちゃん?」
 おそらく醐留権と参拝を終えているこけしちゃんは、ここでも再び拝みまして、


 「あっ!ずるい!4人で来てたの!?」

 もういっちょよく知った声が、響いちゃったのである。






 「なんだ、羚亜も来ていたのか、」
 「………………。」




 醐留権は、微笑んでおりますが、

 (うわぁ、薔くんの様子からして鉢合わせたんだよこれ、でも新年の挨拶しないと!)

 すべてを悟った羚亜と、同じく悟った愛羅は、元気よく言ったのでした。

 「えっと…、明けましておめでとう!」











 (なんかあそこだけやたら、美しいな。)

 なんだかんだで、目立っております。

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