※※第111話:Make Love(&Love juice).53











 …――また今年もずーっと、

 あなたのそばにいられますように。














 何を掲げる?
 何を祈る?

 とにもかくにもやってきた、

 新しい一年が!
















 「お母さん!明けましておめでとうございます!」

 ベッドのうえ、電話越しにナナはペコリとあたまを下げた。


 『ナナ、濃厚に明けましておめでとう。』
 「なんでわかったの!?あ!でもね、年が明けるまえに思い出して、ちゃんとおそば食べたよ!」

 母の決まり文句に対して、正直に返す娘。





 そして、

 『あらそう、また濃厚なとこ悪かったわね。薔くんにも、“今年もナナをお好きなようによろしく”と、伝えてちょうだい。じゃあね。』
 「おおお母さん!?」

 野暮がとにかく嫌いなナナ母は、電話を切ったのでした。






 「お父さんにもよろしくとか、言いたかったんだけど…」

 ぽつりと呟く、ナナ。


 すると、

 「終わったのか?」

 と、隣より薔が問いかけてきたのである。





 「あっ、はい!あのですね、薔っ、」
 「なんだ?」

 ナナは勢いよく彼を見て、もじもじと言いました。


 「今年もわたしを、お好きなようによろしくお願いします…」








 ……お母さんからの言伝てとか、言わなくていいのかい!?






 否応なしにムラッとした薔は、

 「ならさっそく、俺の好きなようにしてやるか、」

 ドサッ――――――…

 ナナをベッドへ押し倒した。





 あ――――――れ――――――――――っっ!

 ※相手は悪代官とかじゃなくて、立派な彼氏でございます。







 「新年早々、エッチですってーっ!」
 「おまえが可愛すぎるのが、いけねーんだろ?」
 「や…っ、あの、さっき、服着たばっ…か、ぁ…あっ、ん、」







 ……それすなわち、

 一年の計は元旦にあり!














 ――――――…

 ナナ母が電話を切ると、

 「ハニー!?電話切るの、早くない!?」

 代わってもらえると思っていたナナ父は、心底おったまげた様子だ。



 「雅之、ナナは今年も濃厚みたいよ。」
 「それはよかったね!…え!?」
 そして夫が、一瞬訝しそうにしますと、

 「安心してちょうだい、お父さんにもよろしくと言っていたから。」

 妻は力強く、微笑みました。





 「ありがとう!ハニー!今年もよろしく!」
 「もちろんよ。」


 ……こちら様もどうやら、

 一年の計は元旦にあるようだ。

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