※※第110話:Make Love(&Sex aid).3







 「うわぁ…!ほんとうに写真がいっぱい、送られてくるんですね!」

 もはやナナは、ベジタブルな歌合戦そっちのけでタブレットを真剣に操作していた。



 「しかもこれ、夕月さんとご飯食べに行ったときの写真までありますよ!すごいですね!ヨロイを着たサンタさんは!」
 「そうだな、」

 ここまで来ているのにナナがいっこうに気づかないため、薔は笑いを堪えている。





 そんななか、ふと、

 「今年は、ほんとうに、ダントツでいい年でした…」

 しみじみと、タブレットを見ながら微笑んで、ナナが言ったのです。

 「こんなにも大好きな薔に、出会えたので……」

 と。





 いきなりの告白に、薔はちょっと驚いたようだったが、

 「おい、俺より先に言うなよ、」

 笑って、ナナを抱き寄せた。



 花子は嬉し恥ずかしそうにすると、リモコンでテレビを消してからお部屋にいったん向かったのでした。

 “今年は本当に、良い年でございました!”















 ――――――――…

 「ナナ、電話に出ないわね。いいことだわ。」

 呼び出し音は鳴っているが、繋がらないため、ナナ母は電話を切った。



 「今ごろきっと、濃厚ね。」
 そして力強く微笑むと、夫の待つリビングへと戻ったのだった。

 「どうせなら、年が明けてからにしましょう。」








 「ハニー、緑組が歌うよ!」
 「雅之、私が応援しているのは、演歌が一組多い黄色よ。」
 「そうなの!?」
 戻ったナナ母は、ジャッキーカルパスを食べ始める。


 「あら、でもこの歌、拳がきいてるわね。」
 「会場に拳って人がいるの?」


 ナナ父とナナ母も、夫婦水入らずで年越しだぜ!
















 ――――――――…

 「お邪魔しまぁぁすぅ…」

 こけしちゃんはばっちり、醐留権邸に来ちゃっておりました。


 だだっ広い中は、意外にも静かだ。




 「今日は大晦日だからね、ほとんど皆、家に帰したんだよ。」
 「そうだったのぉぉ…」
 感心と納得が入り交じって、こけしちゃんはドキドキひとしきりで。


 ふたりして階段を、上がってゆくと、

 「だから桜葉、」

 肩を抱いて耳もとで、醐留権は囁いたのだった。

 「今夜は遠慮せず、声を響かすことができるよ…」

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