※※第110話:Make Love(&Sex aid).3







 「あぁぁ、ゲイちゃぁんのおかげでぇ、助かっちゃったぁぁ。」

 結局司が、慎とその兄と二年参りに出掛けることになったため、送り届けてからこけしちゃんと醐留権はドライブがてら夜景を見に来ておりました。


 「桜葉、寒いだろう?もっとこっちへ来なさい。」
 微笑んだ醐留権が、そっと彼女の肩を抱く。




 …………ぽぉっっ

 寒いけれど、寒くはなかった。
 くすぐったくてヘンな感じだ。





 吐く息は白いなか、キラキラとした夜景を眺めながらふたり寄り添っていたのだけど、

 「キス…してもいいかい?」
 「……はいぃぃ…」

 醐留権がこけしちゃんの肩をやさしく撫でて、向き合うとキスを交わしたのだった。

 チュ――――…





 「んぅ…っ、」
 髪を撫でられ、舌まで入れられちゃったこけしちゃんは、腰が砕けて立っていられません。

 ぎゅっ…

 支えるようにして抱いて、醐留権はいったん眼鏡を外すと、

 クチュ…

 さらに濃厚に、くちづけてきた。




 「はぁ…っん、ぅ、」
 甘い声は思わず漏れます。


 だってここは、

 お月様以外誰も見ていないんだから!

 ………………たぶん。















 ――――――――…

 「実穂子サンハ〜、お料理上手ですネ〜!」
 ほろ酔いのハリーは、箸を休めて大感激。

 「男心は、胃袋で掴めって言いますからね、」
 葛篭はクスクスと、笑っておる。



 「ワタクシはすべテ、掴まれておりマスガ〜!」
 「…………プッ、」
 そしてハリーが、自分の胸をドンと叩いたため、

 「あはははははは!」

 葛篭は笑いだした。





 「AHAHAHA〜、」
 つられてハリーも笑う。


 ところがこのときは、

 そっ…

 とハリーの手に、葛篭の手が重なったのだ。




 「ハリーさん、」
 俯きがちに、重ねた手を少し撫でて、葛篭は言った。

 「キス…してくださらない?」





 神ヨ!

 ハリーのほろ酔いは、いっきにぶっ覚めまして、

 「イブのときはハリーさん、泥酔して寝てしまったから、」

 葛篭はふと、思い出し笑い。




 くい…

 「実穂子サン…!」

 ドッキドキのなか、ハリーは葛篭の顎を持ち上げた。


 「ハリーさん…」
 葛篭も応えまして、じつに甘いムードです。





 そしてふたりはようやく、

 チュ――――…

 くちびるを重ねたのだった。



 途中、

 「ん…っ、」

 座ったままではあるが、葛篭はガクンとしちゃいまして。




 なんと、意外や意外、でもないのか、

 ハリーさんはキスがお上手だった!

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